中国で自国の大使館に連絡する理由は、だいたい決まっています。パスポートの紛失や盗難、逮捕・拘束、入院、家族の死亡、そして大規模な緊急事態です。下の表には、9 か国について、北京にある大使館の代表電話、緊急連絡先または領事部の電話、住所、公式サイトをまとめました。24 時間対応の回線があるところは、表にそう書いてあります。いずれも各大使館の公式サイトに出ている情報です。表の下では、大使館がしてくれること・してくれないこと、自分がいる省をどの総領事館が担当しているか、表にない国の調べ方を順に説明します。先に一つだけ。これがいちばん時間の節約になります。いま誰かの身に危険が迫っているなら、どこかの大使館に電話するより先に、110 番か 120 番にかけてください。
北京にある大使館の連絡先
| 国 | 代表番号 | 緊急回線 | 住所 |
|---|---|---|---|
| アメリカ | +86 10 8531 3000 | +86 10 8531 4000 | No. 55 An Jia Lou Lu, Chaoyang District, Beijing 100600 北京市朝阳区安家楼路55号 |
| イギリス | +86 10 5192 4000 | +86 10 5192 4000 | 11 Guang Hua Lu, Jian Guo Men Wai, Beijing 100600 北京市朝阳区建国门外光华路11号 |
| カナダ | +86 10 5139 4000 | +86 10 5139 4000 24時間 | 19 Dongzhimenwai Dajie, Chaoyang District, Beijing 100600 北京市朝阳区东直门外大街19号 |
| オーストラリア | +86 10 5140 4111 | +61 2 6261 3305 キャンベラ24時間センター | 21 Dongzhimenwai Street, Chaoyang District, Beijing 100600 北京市朝阳区东直门外大街21号 |
| 韓国 | +86 10 8531 0700 | +86 10 8532 0404 領事部の窓口回線 | No. 20 Dongfang Dong Lu, Chaoyang District, Beijing 100600 北京市朝阳区第三使馆区东方东路20号 |
| 日本 | +86 10 8531 9800 | +86 10 6532 5964 邦人援護・受付時間内 | 1 Liangmaqiao East Street, Chaoyang District, Beijing 100600 北京市朝阳区亮马桥东街1号 |
| フランス | +86 10 8531 2000 | +86 137 0107 8733 時間外・重大緊急時のみ | 60 Tianze Lu, Chaoyang District, Beijing 100600 北京市朝阳区天泽路60号 |
| ドイツ | +86 10 8532 9000 | +86 10 8532 9202 時間外専用 | 17 Dongzhimenwai Dajie, Chaoyang District, Beijing 100600 北京市朝阳区东直门外大街17号 |
| スペイン | +86 10 6532 3629 | +86 139 1146 1886 24時間・重大緊急時のみ | 9 Sanlitun Lu, Chaoyang District, Beijing 100600 北京市朝阳区三里屯路9号 |
表の使い方です。開館時間内なら、代表電話にかけると、パスポートや自国民の保護を担当する領事部につないでもらえます。開館時間外に見るのは「緊急連絡先」の欄です。ここは国によってやり方が違います。
- 日本:領事部の受付は日中だけで、邦人援護の電話番号が公開されています。閉館している時間帯にどうすればいいかは、大使館の「緊急時の連絡先」ページで確認してください。
- カナダ:領事の緊急ダイヤルは大使館の番号と同じで、24 時間対応です。
- アメリカ:開館時間内はアメリカ市民サービス課(American Citizen Services)の番号、時間外は代表電話です。
- オーストラリア:時間外は代表電話の音声案内に従って転送してもらうか、キャンベラにある 24 時間対応の領事緊急センターに直接かけます。
- ドイツ:時間外は緊急事態専用の別番号があり、ビザの問い合わせは受け付けていません。
- フランス:夜間と週末は、フランス国民が関わる重大な事案――大きな事故、死亡、逮捕――に限って使う携帯番号があります。
- スペイン:北京・上海・広州・香港に 24 時間対応の領事携帯があり、スペイン国民の重大な緊急事態専用で、問い合わせやビザには使えません。
- イギリス:大使館はオンラインの問い合わせフォームを使うよう案内していて、中国国内で助けが必要なときにかける番号は、イギリスの中国渡航情報ページに出ているものです。
- 韓国:領事部が大使館の中に独自の番号を持っていますが、時間外専用の回線は公表されていません。
番号も受付時間も変わることがあります。電話がつながらないときは、大使館サイトの連絡先ページが最新です。

大使館ができること、できないこと
どの国の外務省も自分のところの一覧を公開していて、書いてあることはよく似ています。領事の仕事はどこの国でも同じだからです。できるのは、パスポートの再発給や帰国のための渡航書の発行、拘束されている人への面会と中国の法律どおりに扱われているかの確認、本国の家族や友人への連絡、言葉が通じる現地の弁護士・医師・病院や通訳の一覧の提供、そして大規模な事態が起きたときに自国民へ「どうすればいいか、どこへ行けばいいか」を伝えること――このあたりです。ほかにお金を届ける手段がまったくないときに、返済を前提とした少額の緊急貸付を行う国もあります。これは国によって違うので、自分の国の窓口に確認してください。
できないことは、その場になってから知るより、先に知っておいたほうがいい話です。留置場から出してもらうことや、中国の裁判に介入することはできません。できるのは、法律どおりに扱われているかを確認し、そうでなければ申し入れることまでです。入院費やホテル代、航空券の代金を払ってもらうこともできません。弁護士や旅行代理店、通訳の代わりを務めることもできません。そして、中国の役人に中国の法律を無視させることもできません。最後の一つは、旅行者が相談に持ち込む日常的なトラブル――罰金、ビザのオーバーステイ、大家とのもめごと――で実際によく問題になります。こうした件についての大使館の正直な答えは、現地のルールに従って自分で解決するしかない、というものです。
まず 110 番、大使館はそのあと
順番は単純です。人の身に危険が及んでいる、犯罪が起きている、事故が起きた――こういうときは中国の緊急番号が先です。警察は 110 番、救急車は 120 番です。すぐに現場へ人を送れるのは警察と救急だからです。政府の規定でも、110 番は事件の通報と、生命や財産が脅かされているときに緊急の助けを求める通報を扱う窓口で、12345 番は緊急でない相談や苦情を受ける窓口とされています。目の前の状況が落ち着いたら、パスポート、拘束、大けが、死亡といった件で自国の大使館に電話します。財布の盗難は警察の管轄で、大使館の仕事ではありません。110 番するか最寄りの派出所へ行って、書面の受理証明書(受案回执、shòu'àn huízhí)をもらってください。警察には交付の義務があり、保険会社もこれを求めます。ホテルでのもめごとや、聞いていた内容と違うツアーも、大使館の管轄ではありません。こうした件は 12345 番の市民サービスホットラインで、北京では日本語と英語を含む 10 の外国語に対応しています。どこが何を担当するかは、中国の緊急連絡先の記事にまとめてあります。それから、12308 番にかけても助けにはなりません。ここは中国外務省が海外にいる中国国民のために設けているホットラインです。
北京にいないとき――担当の総領事館を探す
大使館は北京にありますが、多くの国は他の都市にも総領事館を置いていて、それぞれが決まった省をまとめて担当しています。この担当区域を領事管轄区(領区)といいます。上海や広州、成都にいて、自分の国の総領事館がその街にあるなら、北京の大使館より近くて話が早いのが普通です。パスポートをなくした場合も、たいていはそちらへ行くよう案内されます。各大使館の公式サイトに出ている例をいくつか挙げます。
- アメリカ:北京の大使館が北京、天津、重慶、四川、陝西、山東、甘粛、河北、河南、江西、寧夏、青海、山西、チベット、新疆を、上海総領事館が上海、安徽、江蘇、浙江を、広州総領事館が広東、広西、福建、貴州、海南、雲南を、瀋陽総領事館が東北地方と内モンゴルを、武漢総領事館が湖北、湖南、河南、江西を担当します――河南と江西は大使館のページで北京と武漢の両方に載っているので、どちらにかけても受けてもらえます。
- イギリス:重慶総領事館が重慶、四川、雲南、貴州を、広州総領事館が広東、広西、福建、海南、湖南、江西を、武漢総領事館が湖北と河南を担当し、上海総領事館のページには担当する省が書かれていないので、そこは電話で確認してください。
- カナダ:北京の大使館そのものが北部と西部――北京、天津、河北、河南、山東、山西、陝西、甘粛、青海、寧夏、新疆、チベット、内モンゴルと東北三省――を担当し、それ以外の地域は各地の総領事館が受け持ちます。
- ドイツ:北京の大使館が、天津、河北、河南、湖北、湖南、江西、山東、山西、陝西と西部を含む 16 の省・地区を担当し、残りは上海、成都、瀋陽、広州、香港の総領事館が分担します。
- 韓国:北京、上海、広州、成都、青島、瀋陽、西安、武漢、香港と大連事務所の 10 か所があり、それぞれに担当区域があって、たとえば上海は上海、安徽、江蘇、浙江を担当します。
覚えておくといいのは、だいたいの分かれ方です。上海の総領事館はたいてい江蘇、浙江、安徽を、広州は華南を、成都か重慶は西南を、瀋陽は東北を、武漢は華中を担当します。自分の国の大使館サイトには総領事館の一覧と担当する省が正確に出ているので、北京と上海の外へ行く前に自分の国の分を確認しておくと安心です。

表に自分の国がないとき
北京にある大使館を調べられる公式の名簿が二つあります。一つは北京市政府の英語サイトで、国名のアルファベット順に各大使館の住所と電話番号が並んでいますが、最終更新が 2020 年なので、番号は出発点として扱い、各大使館の公式サイトで最新のものを確認してください。入口はForeign Embassies in Beijingのページです。もう一つは、中国外務省が公開している駐中国外国公館の名簿です。この二つで代表電話まではたどり着けます。そこから先――領事部の直通番号や、閉館している時間帯の対応――は自分の国の外務省サイトに載っていて、中国側の名簿には書かれていません。検索するときは「(国名) embassy Beijing consular emergency」のように入れて、自分の国の政府の公式サイトだけを見てください。アドレスはたいてい .gov、.gov.uk、.gc.ca のような政府ドメインで終わります。
どこの大使館にかけるときも、先にこれだけ用意しておくと話が早く進みます。パスポートどおりの氏名、分かればパスポート番号(顔写真のページの写真があれば十分です)、生年月日、いまいる場所、折り返してもらえる電話番号、そして何が起きて何が必要なのかを一文で言えるようにしておきます。誰か別の人のことで電話するなら、その人の情報を用意します。領事担当官は一日に多くの電話を受けています。必要な情報がそろっている人ほど、早く話が進みます。
よくある質問
中国で拘束されたら、大使館は何をしてくれますか?
大使館に連絡が入れば、面会に来て、中国の法律と、自分の国と中国のあいだの領事協定どおりに扱われているかを確認し、現地の弁護士を探す手伝いをして、家族に連絡してくれます。できないのは、容疑を取り下げさせること、保釈を手配すること、代わりに弁護することです。そこは中国の司法手続きであり、弁護士の仕事になります。警察には、できるだけ早く自国の大使館へ知らせるよう頼んでください。連絡が済んだと確認できるまで、何度でも頼んで構いません。
上海や広州でトラブルに遭いました。北京の大使館ですか、現地の総領事館ですか?
自分がいる省を担当する総領事館です。その街に自分の国の総領事館があるなら、そちらが先です。アメリカ国民なら、上海総領事館が上海、江蘇、浙江、安徽を、広州総領事館が広東と周辺の華南各省を担当します。イギリス国民が広東や四川にいるなら、広州か重慶の総領事館です。判断がつかないときは大使館にかければ回してもらえますが、パスポートの緊急事態なら、どのみち総領事館へ行くよう言われます。
閉館したあとでも大使館に連絡できますか?
9 か国のほとんどはつながります。ただし経路は国によって違います。カナダの領事緊急ダイヤルは 24 時間対応です。アメリカは、時間外の緊急の連絡を代表電話で受けます。オーストラリアは代表電話の案内から転送してもらうか、キャンベラの領事緊急センターにかけます。ドイツには時間外専用の緊急番号があります。スペインの 24 時間対応の携帯は、重大な事案に限られます。日本は領事部が日中の受付時間と邦人援護の電話を公開しており、韓国は領事部の番号を公開しているものの時間外専用の回線は出していないので、この 2 か国は大使館の緊急時の案内ページで最新の対応をご確認ください。こうした回線は、今夜中にパスポートが必要になったとき、逮捕されたとき、入院したときのためのものです。ビザの問い合わせは朝まで待ってください。
自分の国が表にありません。どうやって大使館を探しますか?
住所と代表電話は、北京市政府のアルファベット順の外国大使館名簿か、中国外務省の駐中国外国公館の一覧で確認できます。領事の緊急連絡先は、そのあと自分の国の外務省サイトで調べます。どちらの番号も、必要になる前に携帯に入れておいてください。
出発前に――登録して、番号を入れておく
多くの国の外務省が、旅行者向けの無料の登録サービスを用意しています。日本の外務省なら「たびレジ」、アメリカは Smart Traveler Enrollment Program(STEP)、オーストラリアは Smartraveller、カナダは Registration of Canadians Abroad、イギリスは渡航情報をメールで届ける仕組みです。登録は 5 分ほどで終わります。地震や洪水、政情の急変が起きたときに、大使館があなたの滞在を把握していて、連絡を取れるようになります。あとは、大使館の代表電話、時間外の番号、担当の総領事館を、110 番・120 番と並べて携帯に入れておきます。あわてているときに見つけられる名前を付けておいてください。出発前にやっておくことの残りは中国旅行の安全対策にまとめています。この記事を読んでいる理由がパスポートの紛失なら、中国でパスポートをなくしたときの手順をそのまま追ってください。入院の場合、大使館も病院の名前を教えてくれますが、実際に使える一覧は中国で英語が通じる病院にあります。
最終更新:2026年9月
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