安全と健康

中国の治安は大丈夫? 旅行者が本当に気をつけること――詐欺から、うっかり破りやすい法律まで

中国は、女性の一人旅でも、夜遅い時間でも安全に旅行できる国です。実際に気をつけるもの――盗難、詐欺、交通――と、観光客がうっかり破ってしまう法律、緊急時にどこへ電話するか、出発前のチェックリストをまとめました。

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中国は、旅行先として安全な国です。女性の一人旅でも、夜遅くに出歩く場合でも、それは変わりません。旅行者が暴力犯罪に巻き込まれることはめったにありません。公安部の発表では、2025年に立件された刑事事件は前年より 12.8%減って今世紀に入って最も少なくなり、窃盗・強盗・詐欺は 21.2%減りました。街を歩けばそれは体感できます――人通りが多く、明るく、防犯カメラがあちこちにあり、夜11時に家族連れが出歩いています。実際に気をつけるべきことは、そう多くありません。人混みでのスリとスマホのひったくり、外国人を狙った詐欺、交通(とくに音のしない電動スクーター)、そして法律です。日本より厳しく、知らずに破ってしまいやすいものがいくつかあります。このページではそれを順に見ていき、そのあとに緊急時の電話番号と、出発前のチェックリストをまとめます。

実際のところ、どのくらい安全なのか

旅行者が普通に心配することについては、これまで行ったことのある多くの国より安全です。夕食の帰り道で強盗に遭う心配は現実的ではありませんし、地下鉄でしつこく声をかけられることもまずありません。落とした財布が駅に届けられて戻ってくることも、本当にあります。残るリスクは、もっと地味な種類のものです。スリは、どこの国でも起きる場所で起きます――満員の地下鉄、夜市、有名な観光地の行列です。狙われるのは現金よりも値段の高いスマートフォンです。詐欺は、外国人が実際に遭いやすい一番嫌な経験で、そのほとんどは人懐こい見知らぬ人が声をかけてくるところから始まります。交通は、みんなが軽く見すぎているリスクです。車は赤信号でも右折してきますし、電動スクーターは歩道を走りますし、歩行者用の青信号は道路が安全だという意味ではありません。このあとの内容は、この三つと、うっかり法律を破らないための話です。

詐欺――手短に

よくある手口――「お茶会」への誘い、「美大生」の作品展、駅前の白タク、QR コードを使った偽の返金――は、どれも見知らぬ人についてどこかへ行くか、頼んでもいないコードを読み取るかが前提になっています。そのどちらもしなければ、ほぼ全部を避けられます。すでに巻き込まれてしまった場合――たとえば送金させられそうになっているとき――は、96110が警察の詐欺対策ダイヤルです(かかってくる電話には 0597-96110 のように市外局番が頭に付くことがあります)。この番号から着信があったら出てください。あなたが関係する詐欺が進行中だと警察が見ている、という意味だからです。目の前で今まさに起きている詐欺なら、番号は 110 です。見分け方と、その場で何と言えばいいかの一覧は、中国で外国人が遭いやすい詐欺のガイドにまとめてあります。

A woman comparing the licence plate on her phone with a waiting ride-hailing car at night

一人旅、女性の旅行者、夜の外出

中国の一人旅は、肝心なところが楽です。交通機関は時間帯を問わず安全ですし、ホテルは一人客に慣れていますし、女性が一人でいると声をかけられたり後をつけられたりする文化ではありません。一人旅がうまくいかなくなる原因は、危険よりも段取りの問題――スマホの電池が切れた、通信がない、表示が読めない――のほうがずっと多いです。役に立つ判断をいくつか挙げます。

  • どこに泊まるか。いちばん安い宿を選ぶより、地下鉄の駅に近いホテルを選んでください。そして到着した日に、その路線の終電の時刻を確認しておきましょう。夜遅い到着は、真夜中にタクシーの交渉をするより、地下鉄のほうが安全で簡単です。
  • 夜の帰り道。流しの車を捕まえるのではなく、配車アプリを使ってください。DiDi のアプリには運転手の車のナンバーが表示され、走行中の位置をリアルタイムで共有できます。乗る前にナンバーを照合し、後部座席に座り、行程の画面は開いたままにしておきます。設定の手順はDiDi の使い方ガイドで説明しています。路上でタクシーを拾う場合は、社名表示のある車で、メーターを使い、領収書を出す車でなければいけません――これは営業許可を持つタクシーに対する全国共通のルールで、メーターを使わないなら乗客には支払いを拒む権利があります。
  • 飲みもの。どこの国とも同じです。注がれるところを見る、席を離れるときに置いていかない、見知らぬ人からもらわない――とくに、そのあと「別の店へ行こう」と言い出す相手からは受け取らないでください。「バーの請求書」詐欺はこの一種で、新しくできた友人、相手が選んだ店、そして反論できない請求書、という流れになります。
  • バーとクラブ。北京では、バーや飲食店の屋内は禁煙です。上海も同じで、こちらは電子タバコもルールの対象に入っています。これを守っていない店は、ほかのルールも同じ程度にしか扱っていないと考えていいです。
  • 人混み。祭りの夜や有名な歩行者天国は、かなりの密度になります。スマホは手に持って体の横に垂らすのではなく、前ポケットかファスナー付きのバッグに入れてください。
  • 予定を共有する。今日どこに泊まるかを、毎日一言だけ家族や友人に送っておきましょう。手間はほとんどかかりません。位置情報の共有は、ローミングの eSIM なら使えます。中国国内の SIM を使う場合、海外製アプリのライブ位置情報機能はつながらないことがあるので、スマホのメーカー純正の共有機能を使うか、ホテル名を送るだけでも十分です。

女性の一人旅について言えば、中国はアジアの中でも気を張らずに済む国のひとつです。ホテルの選び方から、どこで何を着るかまで、詳しくは中国の女性一人旅ガイドにまとめてあります。

街、交通、人混み

横断歩道はすべて、誰も止まってくれない前提で渡ってください。曲がってくる車は実際よく止まりませんし、歩行者用の青信号は道路が空いているという意味ではありません。一方通行の道でも左右を見てください――スクーターは逆走します。歩道で危ないのは、後ろからです。電動スクーターはほとんど音を立てないまま歩道を自由に走るので、片側に寄って歩き、横を見ずに一歩ずれないようにしてください。地下鉄のラッシュは、かなり押し合いになります。ドアの前から一歩よけ、手すりをつかみ、多少押されても誰も悪気はないと思っておいてください。連休の大きな観光地では入場規制が厳しくなりますが、それには理由があります。人の流れが止まって密度が上がり始めたら、待たずに早めに横へ動いて端に出てください。子どもは自分の前に立たせてください。営業許可のあるタクシーは規制されていて、運転手は合理的なルートを走り、メーターを使い、領収書を出す義務があり、乗車拒否や不当な料金の請求には罰金が科されます。配車アプリのほうは、乗る前にアプリの中で料金が決まります。つまり「タクシーのトラブル」のほとんどは無許可の車が原因で、だからこそ公式のタクシー乗り場かアプリを使うのです。残りの話は中国のタクシーと配車アプリのガイドにあります。

うっかり破ってしまう法律

ほとんどのガイドはこの話を飛ばします。どれも罠ではなく、公開されている法律です。ただ、いくつかは日本より厳しく、「知りませんでした」は通りません。

  • 薬物(大麻を含む)。中国では、大麻は法律上の麻薬です。警察が科す処罰を定めた治安管理処罰法が、2026年1月1日に施行されました。この法律では、薬物の使用や少量の所持は10日以上15日以下の拘留にあたり、3,000元以下の罰金が併科されることがあります。程度が軽い場合はもっと軽い処分になります。外国人には、さらに国外退去や強制送還が命じられることがあります。量が多ければ刑事事件になり、密売は量にかかわらず起訴されます。これは、大麻が合法な国で買った食用タイプ(お菓子や飲料に加工されたもの)にも当てはまります。使ったのが数日前でも同じです。警察は尿検査を求めることができ、大麻は数日間検出されます。CBD 製品も同じ扱いにしてください。全部、家に置いていってください。処方薬にも規制対象のものがあります。薬については中国の医療ガイドの該当の項をご覧ください。
  • ドローン。中国の無人航空機に関する国の規定では、民間のドローンは、重さにかかわらず、すべて所有者の実名で登録しなければなりません。ネットでよく見る「250グラム未満なら登録不要」という説明は、中国には当てはまりません。登録せずに飛ばすと、警察から罰金を科されることがあります。広い範囲が管制空域に指定されていて、飛ばすには航空交通管理機関の許可が要ります。高度 120メートル以上、空港の周辺、軍事区域・刑務所などの重要施設の近く、鉄道や発電所といった公共インフラの上空、主要な文化財の周辺などです。つまり実際には、観光客が撮りたいと思う場所のほとんどが対象に入ります。外国人は、測量にあたる飛行にドローンを使うことも禁じられています。持っていくなら、登録して、その土地の飛行禁止マップを調べて、迷ったらバッグから出さないことです。
  • 軍事施設・重要施設の撮影。軍事禁区(軍の立入禁止区域)や軍事管理区を許可なく撮影・録画し、制止されても従わないことは、軍事施設保護法に違反します。実際に守るべきルールはこうです。柵、制服の警備員、掲示などから軍や政府の施設らしいと感じたら、カメラを下ろしてください。やめるように言われたら、やめて、消してください。空港、港、国境地帯でも同じように慎重にしてください。
  • 宿泊の届け出。ホテルは、外国人宿泊客の宿泊登録(住宿登记)を自動で警察に行います。民泊や賃貸など個人の住まいに泊まる場合は、入居してから 24時間以内に、あなた自身か泊めてくれた相手が、その住まいを管轄する派出所(警察)で宿泊登録の届け出をする必要があります。ホストがこれを知らないことはよくあります。ルールと手続きの手順は中国のホテル予約と宿泊の届け出のガイドにあります。
  • パスポートの携帯。法律上は、警察に求められたらパスポートを提示できる状態でいることが求められます。コピーとスマホの写真だけを持ち歩き、原本はホテルの金庫に置いていく旅行者も多くいます。その場合、路上で警察に確認を求められたら、ホテルまで取りに戻ることになります。それを承知のうえでの選択です。私たちがおすすめするのは、内ポケットか首から下げるポーチに入れて原本を持ち歩き、コピーは別のところに入れておくやり方です――ホテルのチェックイン、鉄道の切符、入場券が要る観光地の多くで、どのみち原本が必要になります。
  • デモと政治。デモには参加しないでください。主催もしないでください。政治的な意見は、よく知っている相手との会話にとどめてください。これは政治についての論評ではなく、住民より法的な立場が弱い旅行者にとっての実務的な指示です。オンラインでも同じです。写真は投稿して、コメントは帰国してからにしてください。
  • 嘘の通報。ありもしない緊急事態を通報すること――たとえば、起きていない盗難で110に電話すること――は、それ自体が違反です。5日以上 10日以下の拘留にあたり、1,000元以下の罰金が併科されることがあります。空港で爆弾の冗談を言うような悪質なものは犯罪として扱われます。中国では、安全に関わる冗談は本気の発言として扱われます。
A simple four-icon graphic of laws visitors break by accident: drugs, drones, photographing restricted sites, and late registration

水、食べもの、空気

水は、沸かしたものかボトル入りのものを飲んでください――中国の疾病対策センター(中国 CDC)は、弱いのは浄水場ではなく配水管のほうだとして、水道水は沸かしてから飲むことを勧めています――そして、客が並んでいて、その場で強い火で調理している店を選んでください。飲食店は入口に、食品衛生の監督部門による笑顔マークの衛生等級を掲示しています。顔が笑っているほど、直近の検査の結果が良いという意味です。天気アプリの大気質指数(AQI)が高い日は、マスクが役に立ちます。一日中屋外で過ごす予定は避けてください。7月と 8月は、食べもの以上に暑さと湿度のほうが健康上のリスクになります。水を持ち歩き、屋内で過ごす時間を予定に入れてください。アレルギー、ハラール、ベジタリアン向けの食事、体調を崩したときの対応は、中国の食の安全のガイドをご覧ください。

もしものときは、どこに電話するか

中国の緊急・相談電話番号
110 · 119 · 120 · 122無料・24時間・市外局番不要
110警察
120救急車 — 通話は無料、搬送は有料
119火事
122交通事故
12345市民サービスホットライン(非緊急) — 北京・上海は多言語対応(日本語を含む)
12315消費者苦情・通報 — オンラインは 12315.cn
96110詐欺対策ダイヤル — 96110 からの着信は必ず出る
12110警察への SMS 通報(補助) — 電話できるなら 110 を優先
12395水上救助
12328タクシー・交通の苦情 — 中国語のみ——外国語は 12345 経由で
12308中国外交部の領事保護ホットライン — 海外の中国公民向け。訪中外国人向けではない

911 はありません。警察は 110、救急車は 120、消防は 119、交通事故は 122 です。上海では 110 が英語のほか 7つの外国語に対応していて、その中に日本語も入っています。緊急ではないこと――もめごと、苦情、問い合わせ――の窓口は 12345 の市民ホットラインで、大都市には外国語のスタッフがいます。北京の 12345 は 10の外国語で対応していて、緊急の場合は 110、119、120、122 にかけるようにと、そのホットライン自身が案内しています。日本大使館・総領事館に連絡するのは、目の前の問題が片づいたあとです。パスポートの再発行、身柄を拘束されたとき、大きなけがをしたときが対象になります。電話で何を言えばいいか、救急車にいくらかかるか、警察の証明書をどう取るかは緊急連絡先ガイドに、大使館の番号と時間外の回線は中国にある各国大使館の連絡先にまとめてあります。

よくある質問

女性の一人旅でも中国は安全ですか?

安全です。日々の実感で言えば、アジアの中でも一人旅がしやすい国のひとつです。路上での嫌がらせは多くありませんし、公共交通機関は夜も安全ですし、ホテルは一人客に慣れています。気をつけることは、どこの国でも同じ内容です――暗くなってからは流しのタクシーより配車アプリ、飲みものから目を離さない、人混みではスマホを手に持たない。それに加えて、中国では次の二つがとくに効きます。通信が使えることと、スマホの電池が残っていることです。

今、中国に旅行しても大丈夫ですか?

身の安全という意味では、大丈夫です。日常的なリスクは盗難、詐欺、交通で、中国自身の犯罪の数字も減っています。政治は別の問題です。出発前に外務省の海外安全情報を読み、このページに書いた法律の点――薬物、ドローン、重要施設の撮影、デモ――を守っていれば、ただの観光客として扱われます。出会う人たちは興味を持って接してくれますし、来てくれてうれしいと思っている人がほとんどです。

夜に中国の街を歩いても安全ですか?

大都市の中心部なら、安全です。通りは明るく、遅い時間まで人が多く、防犯カメラの数も多いです。人けのない場所については普通の判断をしてください。そして、夜に本当に危ないのは交通のほうだと思ってください――無灯火で歩道を走るスクーター、止まらずに曲がってくる車です。帰り道は配車アプリを使い、乗る前に車のナンバーを照合するのがいちばん無難です。

観光客がうっかり破りやすい法律は何ですか?

よくあるのは四つです。ひとつ目は薬物で、自国から持ち込んだ大麻や大麻入りの食品も含みます。二つ目は、登録していないドローンを飛ばすこと、または重要な施設の近くで飛ばすことです。三つ目は、軍や政府の施設を撮影することです。四つ目は、ホテル以外に泊まるときに、24時間以内に警察へ届け出ないことです。この四つはどれも、上のカードに罰則付きでまとめてあります。

出発前に、10分でできるチェックリスト

  • パスポートの身分事項ページと、ビザまたは入国記録を写真に撮っておきましょう。紙のコピーも別に持ち、中国式の「二寸」サイズ(3.5 × 4.9 cm、白背景)の予備の証明写真を数枚用意します――北京の紛失届の手続きだけでも 3枚必要です。
  • 医療と移送をカバーする旅行保険に入っておきましょう。SafetyWing はその選択肢のひとつです。何を確認すればいいかは、旅行保険ガイドで説明しています。
  • 110、120、119、122、12345をスマホに登録し、日本大使館・総領事館の代表番号と時間外の回線も入れておきましょう。
  • 外務省の「たびレジ」に登録して、緊急時に大使館から連絡が取れるようにしておきましょう。
  • 着陸する前に通信を用意しておきましょう――Airalo の eSIM か、現地の SIM です。地図も、翻訳も、配車も、支払いも、すべて通信の上で動きます。
  • Alipay(支付宝)か WeChat Pay(微信支付)にカードを登録し、予備として少額の現金も持っておきましょう。
  • 翻訳アプリと、中国で使える地図アプリを入れて、行く都市のオフライン地図をダウンロードしておきましょう。
  • 大麻製品、CBD オイル、登録していないドローンは家に置いていきましょう。
  • ホテルの名前と住所を中国語で書き留めて、スマホのロック画面に置いておきましょう。
  • 家族や友人に旅程を伝え、無事を確認し合う間隔を決めておきましょう。

最終更新:2026年9月

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