緊急時

中国でパスポートを紛失したら:帰国までの4ステップ

中国でパスポートをなくした・盗まれたときの手順。警察に届け出てパスポート紛失証明書をもらい、大使館で新しい書類を受け取り、そのうえでビザを入れ直してもらう――空港で足止めされるのは、このビザの手続きを飛ばした人です。

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中国でパスポートをなくしても、手順どおりに進めれば帰国できます。手順は4つです。まず警察に紛失を届け出て、届け出た証拠になる紙をもらいます。次に自国の大使館で、新しいパスポートか緊急用の渡航書類を発給してもらいます。そのあと滞在している市の出入境管理部門へ行き、新しい書類にビザ――ビザなしで入国した場合は、ビザの代わりになる停留証件 (停留证件, tíngliú zhèngjiàn)――を入れてもらいます。最後に、宿泊登記を新しいパスポート番号に書き換えます。宿泊登記はホテルのフロントで5分で終わりますが、出入境管理部門へ行く前に済ませてください。窓口で提示を求められるからです。飛ばされやすいのは3番目のビザの手続きで、空港で足止めされるのもここです。中国側の記載が何も入っていない真新しいパスポートでは、出国審査を通れません。以下、それぞれのステップについて、どこへ行き、何を持って行き、どれくらいの時間と費用がかかるかを説明します。

全体の流れ

手順行く場所受け取るもの時間と費用
1. 紛失を届け出る最寄りの派出所(警察署)、そのあと区の出入境部門(上海は出入境管理部門へ直接)警察の受理控え、続いてパスポート紛失証明書北京では警察への届け出はその場で終わり、どちらの書類も無料。上海では証明書の発行までおおむね2営業日
2. パスポートを再発給してもらう自国の大使館、または滞在地域を管轄する総領事館緊急用の渡航書類、または正式なパスポート数日から数週間、手数料あり。決めるのは自国政府なので、公式サイトでご確認ください
3. ビザまたは停留証件を入れ直す市の出入境管理部門新しい書類に入ったビザまたは停留証件北京では受理の日から7営業日以内、費用は通常のビザ代
4. 宿泊登記をやり直す宿泊しているホテル、個人宅に泊まっているなら管轄の派出所新しい番号に更新された宿泊登記数分。手順3より先に済ませてください――北京ではビザ申請の必要書類に入っています

現実的な見通しとしては、正式なパスポートの再発給が必要なら紛失から出国まで1~3週間、緊急用の渡航書類で足りて大使館の対応が早ければ数日と考えてください。中国側の日数はだいたい決まっていて、ばらつくのは大使館側です。ですから警察への届け出が済んだら、最初にかける電話は大使館です。

A police officer at a station counter in China handing a receipt to a foreign traveler

ステップ1:警察への届け出とパスポート紛失証明書

届け出の前に、15分だけ心当たりを探してみてください。乗ったタクシー(配車アプリに運転手の連絡先が残っています)、食事をした店、駅の遺失物取扱所、ホテルの金庫。この4つです。「盗まれた」はずのパスポートが、どこかのカウンターに置かれたままだったという例は驚くほど多いです。見つからなければ、最寄りの派出所 (pàichūsuǒ、日本の警察署にあたります) へ行きます。地図アプリでこの語を検索するか、ホテルに聞いてください。ホテルは宿泊登記で地元の派出所とやり取りしているので、場所を知っています。今まさに盗難に遭っているところなら110番、単になくしただけなら派出所に出向いてください。身元を証明できるものは何でも持って行きましょう。パスポートのコピーやスマホで撮った写真、運転免許証、自国の身分証などです。

窓口では「护照丢了」(hùzhào diū le、パスポートをなくしました) と伝えて、控えをくださいと言ってください。警察は届け出を記録し、届け出た本人に書面の受理控え、受案回执 (shòu'àn huízhí) を渡すことになっています。北京ではこの最初のステップは無料で、なくした場所から最も近い派出所でその場で終わります。バッグごと盗まれた場合は、紛失ではなく盗難として届け出てください。その同じ控えが、保険会社に出す書類になります。警察でのやり取り全般については、中国の緊急連絡先のガイドをご覧ください。

この控えは、まだ中国の出入境部門が求める書類ではありません――大使館によって扱いは違い、警察の控えで受け付けるところも多いので、ご自分の国の大使館にご確認ください。出入境部門が求めるのはパスポート紛失証明書 (护照报失证明, hùzhào bàoshī zhèngmíng) で、区の公安分局の出入境部門が発行します。北京の流れはこうです。警察の受理控え、身分証明書か古いパスポートのコピー、白背景のカラー写真3.5×4.9cmを3枚持って最寄りの区の出入境サービスセンターへ行き、紛失届の用紙に記入すると、証明書が無料で発行されます。上海は少し違い、なくした場所を管轄する区の出入境管理部門に直接紛失を届け出て、身元と中国に入国した日を証明するものを示すと、通常は2営業日ほどで証明書が発行されます。写真は途中の写真店で撮ってもらえます。「二寸白底」(èr cùn bái dǐ、二寸・白背景、3.5×4.9cmのサイズ) と伝えてください。

💡 ヒント:書類は受け取ったその場で1枚ずつ写真に撮っておいてください。警察の受理控え、パスポート紛失証明書、そのあと大使館が出す書面です。この先どのステップでもコピーを求められますし、スマホの写真で通ることは思っているより多いです。

ステップ2:大使館――緊急用の渡航書類か、正式なパスポートか

パスポート紛失証明書が手に入ったら、自国の大使館か、滞在している省を管轄する総領事館に連絡します。中国の各国大使館の連絡先のガイドに、電話番号、時間外の緊急回線、管轄区域をまとめてあります。多くの国が2通りの方法を用意しています。緊急用の渡航書類(日本の場合は「帰国のための渡航書」)は普通、発給が早くて費用も安く、帰国のためのものです。ただし使えるのは通常1回の渡航だけで、有効期間も短いのが一般的です。正式な新しいパスポートは時間も費用もかかりますが、旅行を続けたり、そのまま別の国へ移動したりできます。残りの日程で選んでください。数日以内に帰国するなら渡航書類、これから中国にあと3週間いる、あるいはこのあと別の国へ行くなら、正式なパスポートに何日かかるかを聞いてから決めてください。必要書類は大使館ごとに公表されていますが、警察の受理控えかパスポート紛失証明書、自国の規格に合った証明写真、手元に残っている身分証、それに帰国便などの旅程を示すものは持って行くつもりでいてください。

領事窓口にいるあいだに確認しておきたいことが2つあります。1つ目は、新しい書類を発給したことを証明する書面を書いてもらうことです。大使館が出す公式の書簡のことで、中国側の窓口では「照会」(照会, zhàohuì) と呼ばれます。日本語の「照会(問い合わせ)」とは意味が違うので、注意してください。上海の出入境管理部門は、紛失の届け出より先に大使館へ行った場合、この書面を求めます。ほかの都市でも、持っていて損はありません。2つ目は、自国の在中国公館で書類を発給してもらえない場合に、そのことを出入境管理部門に伝えることです。自国の大使館でパスポートを再発給できない人には、中国側がパスポート紛失証明書などをもとに外国人出入境証 (外国人出入境证) という出入国用の書類を発給でき、受理から30営業日以内に結論が出ます。

ステップ3:ビザ・停留証件――ここを飛ばさない

このステップを飛ばすと、空港で止められます。古いパスポートに付いていたビザも、古いパスポートに記録されたビザなし入国も、新しい書類には引き継がれません。中国の法律では、外国人が持っているビザや停留・居留の証明書をなくしたり盗まれたりした場合、滞在している場所を管轄する公安機関の出入境管理部門に、再発給を申請しなければならないと定められています。出国のときは、パスポートなどの渡航書類と、中国のビザまたは停留証件を出国審査で提示します。審査官がその両方を確認して、はじめて出国できます。中国のビザも停留証件も入っていない緊急用の渡航書類は、この確認を通りません。

行く前に、宿泊登記を新しい書類の内容に更新してもらってください(下のステップ4)。窓口で求められる書類の一つです。北京で持って行くものは、パスポート紛失証明書の原本、または大使館が出した書簡(照会)、新しいパスポートか渡航書類、有効な宿泊登記、そして白背景3.5×4.9cmの写真1枚です。北京にある外国人向けの出入境サービスホール21か所のどこでも申請を受け付け、受理の日から7営業日以内に処理し、通常の中国ビザ代を徴収します。上海では、パスポート紛失証明書に書かれた発行日から30日以内に居留・停留の手続きを終えることになっています。ビザなしで入国した場合も、同じ窓口が停留証件を発給します。なお、30日間のビザなし政策が使えるのは通常のパスポートだけで、緊急用や臨時の渡航書類には適用されないので、新しい書類でビザなしの枠に「入り直す」ことはできません。停留証件は、出国予定日まで有効なものをお願いしてください。手続きを待っているあいだに、もともと認められた滞在期間を過ぎてしまわないよう気をつけてください。不法残留には警告が出され、悪質な場合は中国の出入国管理法(出境入境管理法)にもとづき、1日500元(総額1万元まで)の罰金、または5日以上15日以下の拘留となります。期限が近いなら、申請のときに窓口でその旨を伝え、受理控えをもらってください――申請済みであることを示せます。停留証件の仕組みは、中国での滞在延長ガイドで説明しています。

北京と上海の窓口はどこにあるか

北京:出入境の受付大ホールは東城区安定門東大街2号(安定门东大街2号)にあり、開庁は月曜~土曜の9:00〜17:00です。移民管理業務の問い合わせは全国共通のホットライン12367が受け付けています。パスポート紛失証明書そのものについては、北京は区ごとに16か所の受付場所を公表しています。たとえば東城分局の出入境サービスセンター(幸福大街34号、毎日9:00〜17:30)や、朝陽分局の外国人出入境サービスセンター(酒仙橋北路甲10号 電子城IT産業園(酒仙桥北路甲10号 电子城IT产业园、BEZIT Park)304号楼、月曜~土曜9:00〜17:00、祝日を除く)です。全リストは北京市政府のパスポート紛失証明書の受付場所一覧のページにあります。上海:出入境管理局は浦東新区民生路1500号にあり、窓口業務は月曜~土曜の9:00〜17:00(祝日を除く)、電話は+86 21 2895 1900、サービスホットラインは12367です。それ以外の都市では、地図アプリで「出入境管理」と都市名を合わせて検索するか、日本語と英語にも対応している12367に問い合わせてください。

A bright immigration service hall in China with numbered counters and people waiting in rows of seats

ステップ4:滞在先の宿泊登記をやり直す

宿泊登記はパスポート番号にひもづいているので、書類が新しくなれば登記もやり直しになります。ホテルに泊まっているならフロントが代わりに届け出てくれます。新しいパスポートを渡して、記録を更新してほしいと伝えてください。借りている部屋や友人の家に泊まっている場合は、入居から24時間以内に本人か泊めた人が管轄の派出所で登記することが法律で決まっていて、パスポートが変わったあとは、新しい番号でもう一度届け出に行きます。上海の手順にはこの順番がはっきり書かれています。紛失を届け出る、証明書をもらう、新しいパスポートを受け取る、新しいパスポート番号で宿泊登記をやり直す、そのうえで停留証件を申請する、という流れです。北京はビザ申請の必要書類として有効な宿泊登記を求めます。ですから出入境のホールへ行ってからではなく、行く前に済ませてください。規則については中国のホテル予約と宿泊登記のガイドで説明しています。

出国するとき

出国審査では、再発給されたビザか停留証件が入った新しいパスポートまたは緊急用の渡航書類を出します。審査官はその両方を確認したうえで出国のスタンプを押します。パスポート紛失証明書と警察の受理控えも一緒に持って行ってください。入国の記録と手元の書類が食い違う理由を、聞かれたときに説明できます。予約を取り直すときは、書類が変わったことを航空会社に伝えてください。航空会社は予約情報とパスポートの記載を照合しますし、緊急用の渡航書類について独自の規定を持つ会社もあるので、大丈夫だろうと思い込まずに直接ご確認ください。空港では時間に余裕を持ってください。

出国までのあいだ、中国国内を移動するのは思っているほど大変ではありません。鉄道の駅の窓口では、パスポート紛失証明書と、ビザ申請中であることを示す出入境部門の受理控えが、切符の購入と乗車に使える有効な身分証明書として認められています(大使館が発給した臨時の渡航書類は、有効なビザまたは停留証件が付いている場合に限られます)。ですから大使館のある都市まで列車で行くことはできます。国内線はもっと厳しく、外国人旅客の有効な搭乗用身分証明書はパスポート、外交部が発給した駐在外交官の身分証、外国人永久居留証に限られます。証明書だけで飛行機に乗れると当てにせず、列車を使うか、新しいパスポートを待つか、緊急用の渡航書類を受け付けるかどうか航空会社に聞いてください。

よくある質問

中国でパスポートを再発給してもらうのに、どれくらいかかりますか?

中国側の手続きは早く、かかる日数もだいたい決まっています。警察への届け出はその場で終わり、北京では無料です。上海は、届け出からおおむね2営業日後にパスポート紛失証明書を発行します。北京は申請を受理してから7営業日以内にビザを再発給します。はっきりしないのは大使館側です。緊急用の渡航書類は数日で出ることが多く、正式なパスポートは数週間かかることもあるので、航空券を変更する前に、まず大使館に日にちを聞いてください。

緊急用の渡航書類はありますが、中国のビザがありません。そのまま出国できますか?

できません。出国審査は渡航書類とビザ・停留証件を合わせて確認するので、中国側の記載が何もない書類ではこの確認を通りません。新しい書類、パスポート紛失証明書、宿泊登記を持って出入境管理部門へ行き、まずビザか停留証件をその書類に入れてもらってください。

先に警察へ届け出ないといけませんか?届け出を飛ばしてもいいですか?

先に届け出てください。大使館も出入境管理部門も、警察の受理控えとパスポート紛失証明書を土台に書類を組み立てます。届け出をせずに大使館へ行った場合、上海の出入境管理部門はビザの申請時に大使館の書簡を追加で求めます。北京では無料で当日中に終わるステップです。飛ばしても早くはなりません。大使館や出入境管理部門で書類が足りず、そこで余計に日数がかかるだけです。

北京と上海の出入境管理部門はどこにありますか?

北京は東城区安定門東大街2号(安定门东大街2号)、月曜~土曜9:00〜17:00です。これに加えて、パスポート紛失証明書の受付が区ごとに16か所あります。上海は浦東新区民生路1500号、月曜~土曜9:00〜17:00(祝日を除く)、電話+86 21 2895 1900です。どちらの都市でも、問い合わせは日本語と英語に対応している全国共通の移民管理ホットライン12367へどうぞ。

そうなる前に:2分でできる備え

パスポートの身分事項ページと、入国スタンプまたは入国記録の写真を、スマホとクラウドの両方に入れておいてください。紙のコピーはパスポートとは別の場所に持ち歩きます。白背景3.5×4.9cmの証明写真は最低4枚、手元に置いておいてください。北京ではパスポート紛失証明書だけで3枚、ビザの再発給でもう1枚必要になるからです。これとは別に、自国の規格に合った証明写真も一組そろえておきましょう。パスポート本体は、後ろポケットや体から離れるバッグではなく、内ポケットかネックポーチに入れてください。ホテルのチェックイン、列車の切符、入場券が必要な観光地の多くで、どのみち原本が要ります。コピーと予備の写真は別の場所に分けて持ってください。そうしておけば、一度なくしただけで全部を失わずに済みます。海外旅行保険は、再発給の費用や、パスポート紛失で余計にかかった宿泊代・航空券を補償することが多いのですが、その文言は保険ごとにかなり違うので、契約する前に「渡航書類」に関する条項を読んでください。World Nomads はその点をはっきり書いている保険会社の一つです。ほかに何を見ればいいかは、中国の海外旅行保険ガイドで説明しています。

最終更新:2026年9月

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