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中国の緊急通報は、日本と同じように用件ごとに番号が分かれています。違うのは分け方です。警察は 110、救急車は 120、火事は 119、交通事故は 122。日本では 119 番が火事と救急の両方を受けますが、中国では救急車が 120 という別の番号になっていて、交通事故専用の 122 もあります。4 つとも通話料は無料で、24 時間つながり、市外局番も国番号もつけずにそのままダイヤルします。旅行者がつまずくのは、たいてい 2 つです。言葉(上海以外では中国語で応対されると考えてください)と、お金(通話は無料ですが、救急車は有料です)。このページでは、番号そのものに加えて、電話がつながったら何を伝えるか、救急車はいくらかかるか、緊急ではない苦情はどこにかけるかまでまとめます。
4 つの番号と、迷ったときのルール
この 4 つは、出発前に連絡先へ登録しておいてください。一つだけ覚えるなら 110 です。刑事事件、治安、道路交通に関する通報から、人の生命や財産に危険が及ぶ場面での緊急の助けを求める通報まで、警察の窓口として幅広く受け付けています。どの番号にかければよいか判断できないときは、まず 110 にかけてください。
カードの内容に少し補足します。120 は医療の窓口で、大けがや急病を 24 時間受け付けます。上海市の公式案内では、救急車が 20 分たっても到着しない場合はもう一度 120 にかけるよう書かれています。119 は火事ですが、化学物質の漏えいも受け付けますし、上海では建物の倒壊などの大きな災害事故も 119 の担当とされています。交通事故なら 122 でも 110 でもかまいません。どちらも通じますし、122 は携帯電話からだけでなく公衆電話からも無料でかけられます。
手持ちのスマートフォンからかけられるかどうかも、確認しておいてください。日本の SIM のまま中国の通信網でローミングしていれば、これらの短い番号も通常の通話と同じようにダイヤルできるはずです。出発前にご利用の携帯会社に確認し、ローミングをオンにしておいてください。SIM が入っていない端末や、残高切れの端末でつながることは当てにしないでください。電池切れや圏外で自分の端末が使えないときは、近くのホテルのフロント、店の人、通りがかりの人に事情を伝えて、代わりにかけてもらうのがいちばん早い方法です。中国の番号を一つ持っているだけでこうした場面はぐっと楽になるので、中国の SIM カードと eSIM のガイドもあわせてご覧ください。

日本語や英語は通じますか
上海なら通じます。ただし日本語で受け付けているのは 110 で、119 と 120 は英語です。それ以外の都市では、通じない前提で準備してください。上海の 110 は英語・日本語・ロシア語・ドイツ語・フランス語・スペイン語・アラビア語・韓国語の 8 つの外国語に対応していて、119 と 120 は英語に対応しています。北京で多言語に対応しているのは市民サービスホットラインの 12345 で、日本語を含む 10 の外国語が使えます。ただしこちらは緊急ではない用件のための番号で、北京市の公式案内も、急ぐときは 110・119・120・122 にかけるようにと書いています。その他の都市の緊急通報番号については、外国語対応が公式に公表されていません。オペレーターが英語のできる人を探してくれることはありますが、それを当てにして電話をかけるのはやめておいたほうがよいです。
不安に聞こえるかもしれませんが、対処法は単純で、どこでも使えます。3 ステップです。
- 中国語を話せる人に電話を代わってもらう。ホテルのフロント、店の人、タクシーの運転手、誰でもかまいません。自分のスマートフォンを指さして「110」「120」と番号を言い、助けてという意味の「帮忙(bāngmáng)」と伝えれば通じます。たいていの人は手を貸してくれます。
- 今いる場所を中国語で示せるようにしておく。ホテルの住所カードをスクリーンショットで保存しておくか、地図アプリを開いて通りの名前と目印になる建物をすぐ読み上げられるようにしておきます。伝える内容のなかで、住所がいちばん重要です。
- 細かい内容は翻訳アプリで。「友人の呼吸が苦しそうです」「かばんを盗まれました」と入力して、助けてくれる人に画面を見せてください。ゆっくり英語で話しても伝わらないことが多いですが、画面なら伝わります。
つながったら何を伝えるか
オペレーターが知りたいことは、どの言語でもだいたい同じで、聞かれる順番もほぼこのとおりです。110 なら、正確な住所(通りの名前と建物番号、またははっきりした目印)、何が起きたか、自分の名前と折り返しの電話番号。窃盗や強盗なら、相手が何人で、どんな外見で、どちらへ逃げたか、車やバイクを使っていたかも伝えます。身元を伏せてほしいときは、その旨をオペレーターに頼めます。120 なら、住所、患者の年齢と性別、主な症状、自分の電話番号。電話を切ったら、通りや建物の入口まで人を出して救急隊を誘導し、通路を空け、患者の薬をまとめておきます。搬送先の病院を聞かれるのが普通で、「いちばん近い病院で」と答えて問題ありません。119 なら、住所か目印、何が燃えている(漏れている)のか、どのくらいの規模か、逃げ遅れた人やけが人がいるか、そして自分の電話番号。切ったあとは交差点まで出て消防車を迎え、状況が変わったら改めて電話してください。ここに挙げた項目は、上海市政府の英語ページ緊急時の対応にまとめられています。ブックマークしておくと安心です。
救急車は無料ではありません――それでもためらわないでください
120 に電話をかけること自体にはお金がかかりません。かかるのは搬送です。北京市は 120 と 999 という 2 つの救急サービスの料金を距離で決めていて、3 km までが 50 元、それを超えると 1 km ごとに 7 元、救急隊がその場で救命処置をした場合は、その処置費として 1 回 40 元が加わります。到着した救急車を断った場合でも、50 元の使用料は支払うことになります。救急搬送に関する北京市の条例は、公表された料金を支払うことを患者本人や家族の義務と定めていて、救急隊がその場で免除できないのはこのためです。料金は都市ごとに決められているので、正確な金額を知りたい場合は、その都市の 120 が公表している料金表をご確認ください。私立の国際病院は自前の救急車をより高い料金で運行しているので、そちらに電話をかけるときは料金を確認してください。
実務的なポイントが 2 つあります。1 つ目。上の金額は治療費に比べれば小さく、ためらう理由にはなりません。救急車を呼ぶのが遅れるほうが、はるかに高くつきます。2 つ目。上海市の案内では、病院に着いてから支払うのが一般的とされています。救急隊や会計窓口ですぐ出せるように、カードかモバイル決済を用意しておいてください。公立病院は外国人にも住民と同じ料金を適用し、治療の前か治療時の支払いを求めます。加入している保険会社がその病院と直接請求の取り決めを結んでいる場合だけは別です。北京の外国人患者向けの案内では、現金、海外発行のクレジットカード、銀聯(UnionPay)のデビットカード、WeChat Pay と Alipay が病院で使えるとされています。医療補償のある旅行保険に入っていれば、その場で払った分をあとから請求できます。Safetywing などがこうした旅行向けのプランを扱っていますし、中国旅行の保険ガイドではどの条項が効いてくるかを説明しています。どの病院を指定すればよいかは、英語が通じる病院のガイドをご覧ください。
緊急ではないときは、正しいホットラインへ
タクシーで料金を多く取られた、ガイドに店へ連れ込まれて買わされた、ホテルとのもめごと、ビザについての質問――どれも 110 にかける用件ではありませんし、オペレーターにもそう言われます。国務院弁公庁は 2022 年にこの線引きをはっきりさせました。12345 は行政サービスや地元の事業者に関する緊急ではない苦情・問い合わせ・要望を受け付ける窓口、110 は犯罪、生命や財産への危険、そして警察官に対する苦情のための窓口です。
- 12345 ――市民サービスホットライン。旅行者にとっての主な苦情窓口はここです。上海の 12345 は 24 時間対応で、日本語を含む 18 の外国語が使えます。1 日以内の応答を目安に、簡単な案件は 5 日、複雑な案件は 15 日以内での解決を目指しています。北京の 12345 は日本語を含む 10 の外国語に対応し、海外からは +86 10 12345 でかけられます。旧・観光ホットラインの 12301 は 2021 年末で廃止され、観光の苦情は 12345 に一本化されました。12301 を今も載せているガイドは無視してかまいません。
- 12315 ――消費者トラブル。偽物をつかまされた、飲食店の食事でお腹を壊した、返金に応じてもらえない。こうした件は市場監督部門のこの番号で、12315.cn にオンラインの受付窓口もあります。
- 96110 ――詐欺。送金や偽の支払いにだまされたときは、この詐欺対策専用線にかけてください。逆に 96110 から着信があったら必ず出てください。本人か家族が詐欺の標的になっていると警察が判断した、という意味です。旅行者が狙われやすい手口は、中国の観光客向け詐欺のガイドで詳しく取り上げています。
- 12328 ――タクシーと交通。メーターを使ってくれない、遠回りされたといった件はここですが、中国語のみの対応なので、日本語や英語で伝えたいなら 12345 経由のほうが確実です。
- 12367 ――出入国管理。国家移民管理局の 24 時間対応の窓口で、ビザや入国についての質問に英語・日本語・韓国語・ロシア語・中国語で答えてくれます。
- 12110 ――ショートメッセージでの通報。通話ができないときのための、緊急ではない場合の補助的な手段です。12110 のうしろに現地の市外局番の下 3 桁をつけた番号あてに SMS を送りますが、正確な番号は現地の公安が公表している案内をご確認ください。電話ができる状況なら、やはり 110 にかけてください。
- 12395 ――水上での事故。船の事故や、人が水に落ちた場合は、海上捜索救助のこの番号にかけてください。
リストから消していい番号が一つあります。12308 です。これは中国外交部が海外にいる中国人のために設けているホットラインで、中国国内にいる外国人のための窓口ではありません。旅行者にとってこれにあたるのは、自国の大使館です。

通報したあと――受理の控えを必ずもらう
派出所(pàichūsuǒ、日本の交番・警察署にあたります)で事件を届け出ると、警察官はそれを記録し、書面の受理の控えである「受案回执(shòu'àn huízhí)」を届け出た人に渡すことが定められています。渡されなければ、この名前を出して求めてください。この 1 枚は 3 つの役目を果たします。まず、盗難の保険金請求で保険会社から求められる証拠になります。次に、パスポート再発給の手続きの最初の書類になります(北京の手続きは、なくした場所のいちばん近くの派出所での届け出から始まります。その場で処理され、費用はかかりません)。そして、届け出た内容が日付入りの書面として残ります。トラブルが長引いたときに、これが効いてきます。受け取ったらすぐ写真を撮っておいてください。
派出所を探すときは、地図アプリで「派出所」と検索してください。どの区にもいくつもあります。ホテルに頼んでいちばん近い派出所を教えてもらうのも早い方法です。ホテルは宿泊登録でふだんから警察とやりとりしているので、場所を知っています。盗まれたかばんにパスポートが入っていた場合は、中国でパスポートをなくしたときのガイドの手順に沿って進めてください。
大使館に連絡すべきとき
大使館は、自国政府にしかできないことのための窓口です。パスポートの再発給、身柄を拘束された場合の面会、家族への連絡、言葉の通じる弁護士や医師の紹介。110 や 120 の代わりにはなりません。目の前の危険をまず片づけて、そのあとで連絡してください。連絡先の番号、時間外の窓口、できることとできないことは、中国の大使館連絡先のガイドにまとめています。
よくある質問
中国の緊急通報番号は何番ですか。911 や 112 はありますか。
一つにまとまった番号はありません。警察は 110、救急車は 120、火事は 119、交通事故は 122 です。いずれも全国共通で、通話は無料、24 時間受け付けており、市外局番をつけずにダイヤルします。どれにかければよいか判断がつかないときは、110 を選んでおけば間違いありません。
中国の緊急通報のオペレーターに英語は通じますか。
上海では通じます。110 は日本語を含む 8 つの外国語に、119 と 120 は英語に対応しています。それ以外の都市では緊急通報番号の外国語対応が公式に約束されていないので、中国語で応対される前提で、近くの人に電話を代わってもらうか、翻訳した文面を見せられるようにしておいてください。北京の 12345 は外国語が通じますが、緊急ではない用件専用です。
中国で救急車を呼ぶとお金がかかりますか。
かかります。通話は無料ですが、搬送のサービスは有料です。北京では 3 km までが 50 元、それ以降は 1 km ごとに 7 元、これに救命処置費が 1 回 40 元です。料金は都市ごとに決められていて、上海の案内では病院に着いてから支払うのが一般的とされています。治療費に比べれば小さな額です。迷わず呼んでください。
海外の携帯電話から 112 や 911 にかけると、中国でつながりますか。
中国では 112 や 911 の公式な転送はありません。つながらないものとして、110 か 120 に直接かけてください。現地の短い番号がきちんと発信できるよう、ローミングが有効になっているかをご利用の携帯会社にご確認ください。
タクシーで料金を多く取られた、ガイドに買い物を強要された――110 と 12345 のどちらですか。
12345 です。料金の上乗せや買い物の強要といったトラブルは緊急ではない苦情にあたり、政府はこれを 12345 で受け付けると定めています。110 は犯罪や危険のための番号です。旧・観光ホットラインの 12301 が 12345 に統合されたので、観光関係の苦情も 12345 です。ただし、身柄を押さえられた、その場から出してもらえないなど、身の危険を感じる状況になったら 110 です。
出発前の 3 分でできること
- 110・120・119・122 を「中国 警察」「中国 救急」といった名前で連絡先に入れ、12345 は「中国 苦情窓口」として登録します。
- ホテルの住所を中国語でスクリーンショットに撮り、ロック画面か写真フォルダに入れておきます。
- 自分なりの判断基準を先に決めておいてください。人に危険 → 110 か 120、火事 → 119、交通事故 → 122、お金やサービスのもめごと → 12345、詐欺 → 96110。
- 名前、血液型、アレルギー、緊急連絡先を英語で(できれば中国語でも)書いたカードを印刷して持ちます。
最終更新:2026年9月
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