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「中国料理」という一つの料理があるわけではありません。中国には地域ごとにさまざまな料理があり、中国の人はそれを「八大菜系(bā dà càixì)」という八つの郷土料理にまとめて呼ぶのが一般的です。四川、広東、山東、江蘇、浙江、福建、湖南、安徽の八つです。旅行者が最初に出会うことの多い二つは、味が正反対です。成都や重慶の四川料理は辛くて舌がしびれる味、広州や香港の広東料理はあっさりとした新鮮な味で、蒸し料理が多いのが特徴です。もう一つ、食卓の様子を大きく左右するルールがあります。北は小麦(麺、餃子、まんじゅう)、南は米を主食にしている、ということです。このガイドでは、八大菜系それぞれの味と注文したい料理、八大菜系以外の郷土料理(北京ダック、西安の麺、雲南の米線、上海の小籠包)、中国の食事の進み方、そして料理の中身がわかる中華料理のメニューの読み方を紹介します。
中国料理はどう分かれているのか
八大菜系は、中国の友人の口からよく聞く分け方で、「正宗川菜(zhèngzōng chuāncài、本場の四川料理)」とうたう店の看板にも出てきます。ただし、これは食べ物を語るときの一般的な分け方で、公式のリストではありません。八つを定めた法律や名簿はなく、本によって分け方も少しずつ違います。たとえば江蘇料理は、いちばん有名な系統の名前をとって「淮揚料理(淮扬菜、huáiyáng cài)」と呼ばれることもよくあります。成り立ちは数百年前までさかのぼるとされることが多いものの、細かな経緯は本によってまちまちです。
公式の位置づけがあるのは、料理の技そのものです。2021年、中国烹飪協会が申請した「中国料理の調理技術と食習慣(中餐烹饪技艺与食俗)」が、中国の国家級無形文化遺産リストに加わりました。地方料理や個別の料理にも国家級の登録を受けているものがいくつもあり、以下の各章で紹介します。また中国には、ユネスコ創造都市ネットワークの「食文化都市」が7都市あります。成都(2010年)、順徳(2014年)、マカオ(2017年)、揚州(2019年)、淮安(2021年)、潮州(2023年)、泉州(2025年)です。ユネスコ自身のページ食文化都市としての成都(英語)でも紹介されています。
違いの大部分は地理で説明できます
中国では、大きな違いを「南米北面(nán mǐ běi miàn)」という短い言葉で表します。南は米、北は麺という意味です。華北は小麦の産地なので、主食は麺、餃子、蒸しパン(饅頭)、焼いた平たいパンです。華南は米の産地なので、食事は茶碗一杯のご飯を中心に組み立てられます。境目はおおよそ黄河と長江のあいだにあり、上海や南京のような都市では米も小麦も両方食べます。
味についても、大まかな目安があります。厳密ではありませんが、大きく外れることはまずありません。
- 北(北京、山東、天津、東北地方):塩気が強く、ボリュームがあります。にんにく、ねぎ、酢、しょうゆをよく使い、ロースト、煮込み、餃子が多めです。冬が長いので、白菜の漬物や保存食が欠かせません。
- 南(広東、福建、香港):あっさりしていて新鮮です。蒸す、手早く炒める、じっくり煮込んだスープ、そして海鮮が多いのが特徴です。素材の味を隠さず生かすように調理します。
- 西と西南(四川、重慶、湖南、貴州、雲南):辛い味です。どこでも唐辛子を使い、四川ではさらに舌がしびれる花椒(ホアジャオ)が加わります。酸っぱい漬物や発酵させた味噌類もよく使います。
- 東(上海、江蘇、浙江):甘めで、しょうゆの味がしっかりしています。おかずの煮込みにも砂糖を入れ、淡水魚や川エビが日常の食材で、盛り付けもていねいです。
最初に出会う、正反対の二つ
二つだけ覚えるなら、四川料理と広東料理にしてください。四川料理の店はどの都市にもあり、ラー油、にんにく、唇がピリピリする花椒を使った、はっきりした辛い味です。広東料理はあっさりしていて辛くありません。魚の生姜ねぎ蒸し、澄んだスープ、焼き物(ロースト肉)、お茶と一緒に食べる点心などです。海外で出される中華料理の多くは広東料理から生まれたものなので、なじみのある味に感じるかもしれません。旅行中は、ある晩は四川料理、翌日の朝食か昼食は広東料理というように、二つを交互に食べるとうまくいく、という旅行者も多くいます。
郷土料理は、その土地以外でも食べられます。大きな都市なら、四川、湖南、広東、東北、新疆の料理店があり、蘭州牛肉麺や沙県小吃の店はほとんどどの通りにもあります。その地方まで行かなくても味わうことはできます。ただ、本場で食べるほうがたいていおいしく、値段も安めです。
四川料理(川菜、Chuān Cài)
四川料理は、成都を省都とする四川省と、隣の重慶市の料理です。外国人が「辛い中国料理」と聞いて思い浮かべるのは、たいていこの料理です。代表的な味は「麻辣(málà)」です。「麻(má)」は花椒(huājiāo)による舌がしびれてジンジンする感覚、「辣(là)」は唐辛子の辛さのことです。二つが合わさると、焼けるような辛さというより、口の中がしびれる感じになります。
四川料理がすべて辛いわけではありません。四川料理は味の種類が多いことで知られていて、よい店のメニューには、辛い料理のほかに、甘酸っぱい料理、にんにくの効いた料理、燻製の香りの料理、辛くない料理もそろっています。四川料理の調理技術は2021年に国家級無形文化遺産リストに加わり、成都は2010年に中国で最初のユネスコ食文化都市になりました。多くの料理の土台になっているのが郫県豆瓣醤(郫县豆瓣、Píxiàn dòubàn)で、その伝統的な製法は2008年から国家級無形文化遺産リストに入っています。
注文したい料理:
- 麻婆豆腐(mápó dòufu):やわらかい豆腐を、少量の牛または豚のひき肉と一緒にしびれる赤いソースで煮た料理。四川料理の基準になる一品です。
- 宮保鶏丁(宫保鸡丁、gōngbǎo jīdīng):さいの目に切った鶏肉をピーナッツと乾燥唐辛子で炒めた料理で、少し甘酸っぱい味です。見た目ほど辛くありません。
- 回鍋肉(回锅肉、huíguō ròu):ゆでた豚バラ肉を薄切りにし、葉にんにくと豆板醤で炒めた料理。
- 魚香肉絲(鱼香肉丝、yúxiāng ròusī):魚は入っていません。「魚香」は、甘酸っぱくにんにくの効いたソースのことです。
- 担担麺(担担面、dàndàn miàn):ラー油、豚ひき肉、漬物をのせた小ぶりの麺。
- 火鍋(火锅、huǒguō):テーブルの上で、唐辛子のたっぷり入った煮立ったスープに生の肉や野菜を入れて、自分で煮て食べる料理です。重慶と成都がどちらも本場を名乗っています。
食べるならここ:成都と重慶です。成都グルメガイドでは火鍋、小吃、茶館を、重慶ガイドでは火鍋がふだんの食事になっている重慶の街を紹介しています。

広東料理(粤菜、Yuè Cài)
広東料理は広東省、香港、マカオの料理で、四川料理とは正反対です。新鮮な素材そのものの味を生かすことを大切にしていて、魚は蒸し、青菜は手早く炒め、味付けは控えめです。広州市政府は、広東料理を中国の「八大料理」の一つとし、食材の多彩さとていねいな調理で知られると説明しています。そして、スープ、お茶、点心、夜食を地元の食生活の中心に挙げています。英語のページ広州の食べ物は、短くまとまった入門として役に立ちます。
広東の料理は一種類ではありません。省の東部の潮州料理は、ガチョウの煮込み(滷水)、生の魚介の漬け込み、つみれ(魚のすり身団子)で知られています。潮州料理の調理技術は2021年に、広州の沙河粉(shāhé fěn、米粉の平麺)の製法と一緒に国家級無形文化遺産リストに加わりました。中国の7つのユネスコ食文化都市のうち、順徳、潮州、マカオの3都市がこの地域にあります。
注文したい料理:
- 点心(diǎnxin):お茶と一緒に食べる、蒸し物や揚げ物の小皿料理で、主に朝と昼に食べます。まずはエビ蒸し餃子(虾饺、xiājiǎo)、豚肉とエビの焼売(烧卖、shāomài)、チャーシューまん(叉烧包、chāshāo bāo)、腸粉(肠粉、chángfěn、米粉の蒸しロール)から。点心を食べに行くことを「飲茶(饮茶、ヤムチャ)」と言います。
- 焼き物(烧味、shāowèi):チャーシュー(叉烧、chāshāo)、ローストグース(烧鹅、shāo é)、皮がカリカリの豚バラ肉のロースト。ご飯にのせて食べます。
- 清蒸魚(清蒸鱼、qīngzhēng yú):魚一尾を生姜、ねぎ、薄口しょうゆで蒸した料理。広東料理の店の腕がわかる一品です。
- ワンタン麺(云吞面、yúntūn miàn):細い卵麺とエビ入りワンタンを澄んだスープで。
- 土鍋ご飯(煲仔饭、bāozǎi fàn):土鍋で炊いたご飯に腸詰めや鶏肉をのせたもので、底がおこげになります。
- 老火湯(老火汤、lǎohuǒ tāng):何時間も煮込んだスープです。食事のはじめに一杯出す店も多くあります。
食べるならここ:広州、順徳(広州から近い)、香港、マカオです。広州・深圳ガイドと香港グルメガイドもご覧ください。

山東料理(鲁菜、Lǔ Cài)
山東料理は、中国の北の沿岸にある山東省の料理で、済南、青島、煙台、そして孔子の故郷である曲阜が中心です。八大菜系の中でいちばん古いと言われることが多く、北京をはじめ華北の多くの地域の料理に影響を与えました。そのため、メニューに「山東」と書かれていなくても、その影響を感じることがあります。塩気のきいた旨みのある味で、ねぎ、にんにく、酢をたっぷり使います。強い火で手早く炒める調理法と濃いスープが特徴で、沿岸部ではナマコ、エビ、魚も加わります。
山東の食文化のうち二つが、国家級無形文化遺産リストに入っています。曲阜の孔子一族の邸宅で作られてきた孔府料理(孔府菜、Kǒngfǔ cài)が2011年に、徳州扒鶏(德州扒鸡、Dézhōu pájī)の製法が2014年に登録されました。
注文したい料理:
- 糖醋鯉魚(糖醋鲤鱼、tángcù lǐyú):黄河の鯉を一尾、尾が反り返るように揚げ、つやのある甘酢あんをかけた料理。
- 葱焼海参(葱烧海参、cōngshāo hǎishēn):宴席の料理で、やわらかいナマコを濃い色のねぎソースで煮込んだものです。
- 徳州扒鶏(德州扒鸡、Dézhōu pájī):鶏一羽を、肉が骨からほろりと外れるまで煮込んだ料理。山東省内の駅や店で丸ごと売られています。
- 九転大腸(九转大肠、jiǔzhuǎn dàcháng):豚の大腸を甘くて酸っぱくてピリ辛のソースで煮込んだ、済南の定番料理です。冒険したい人向けです。
- 煎餅巻大葱(煎饼卷大葱、jiānbing juǎn dàcōng):薄い穀物のクレープで生のねぎと味噌を巻いた、山東の素朴な軽食。
食べるならここ:定番料理なら済南と曲阜、海鮮なら青島と煙台です。北京でも、煮込みや強火の炒め物を出す老舗の多くは山東風の料理を作っています。
江蘇料理(苏菜、Sū Cài)
江蘇料理は、南京、蘇州、無錫、揚州、淮安を中心とした料理で、長江と大運河沿いの、昔から豊かだった町々の味です。繊細な味わいで、ていねいな包丁さばき、時間をかけた煮込み、澄んだスープが特徴で、全体の味のバランスはやや甘めです。淡水魚、川エビ、カニが主役になります。中国では、淮安と揚州の二つの都市名から「淮揚料理」の名前で知っている人が多くいます。
この二つの都市は、どちらもユネスコ食文化都市です。揚州は2019年、淮安は2021年に認定されました。揚州は朝茶(朝の点心)でも知られ、老舗「富春茶社」の茶点(富春茶点、Fùchūn chádiǎn)は2008年から国家級無形文化遺産リストに入っています。南京の人はアヒルが大好きです。南京市政府によると、板鴨(プレスしたアヒル)と塩水鴨で、南京は「アヒルの都」と呼ばれるようになりました。無錫では、市の英語ポータルが無錫排骨(スペアリブ)を市を代表する伝統料理としています。
注文したい料理:
- 獅子頭(狮子头、shīzi tóu):とてもやわらかい大きな豚肉団子を、煮込んだりスープで煮たりした料理。
- 揚州炒飯(扬州炒饭、Yángzhōu chǎofàn):卵、エビ、ハム、グリンピースが入った本家の炒飯で、テイクアウトの炒飯よりあっさりしています。
- 松鼠桂魚(松鼠鳜鱼、sōngshǔ guìyú):切れ目を入れて揚げた魚に甘酢あんをかけた、見た目も華やかな蘇州の名物料理です。
- 南京塩水鴨(盐水鸭、yánshuǐ yā):冷たく、色白でやわらかいアヒルで、前菜として食べます。
- 無錫排骨(无锡酱排骨、Wúxī jiàng páigǔ):しょうゆで甘く濃い色に煮込んだスペアリブ。
- 大煮干絲(大煮干丝、dàzhǔ gānsī):麺のように細く切った押し豆腐を濃い鶏スープで煮た料理で、揚州の包丁さばきの腕試しと言われます。
- 蟹黄湯包(蟹黄汤包、xièhuáng tāngbāo):熱いスープがたっぷり入った大きな包子です。ストローでスープを飲むか、先に小さな穴をかじって開けてから食べます。
食べるならここ:朝茶なら揚州、アヒルと小吃なら南京、魚料理と麺なら蘇州です。揚州ガイド、南京ガイド、蘇州ガイドもご覧ください。
浙江料理(浙菜、Zhè Cài)
浙江料理は、上海のすぐ南にある杭州、寧波、紹興、温州の料理です。新鮮でまろやかな味で、脂っこくありません。湖でとれる淡水魚、たけのこ、そしてソースや漬け込みに使う紹興酒(绍兴黄酒、Shàoxīng huángjiǔ)が欠かせません。杭州の料理はやさしい味で、少し甘めです。海沿いの寧波はもう少し塩気のある海鮮料理を作り、温州も海鮮で知られています。
注文したい料理:
- 西湖醋魚(西湖醋鱼、Xīhú cùyú):ゆでた草魚に甘酢あんをかけた、杭州でいちばん有名な料理です。ただ、やわらかい食感は好みが分かれます。
- 東坡肉(东坡肉、Dōngpō ròu):四角い豚バラ肉を、つやが出てやわらかくなるまで酒としょうゆで煮込んだ料理で、詩人の蘇東坡にちなんだ名前です。
- 龍井蝦仁(龙井虾仁、Lóngjǐng xiārén):小さな川エビを龍井茶(緑茶)の茶葉と一緒に炒めた料理。
- 叫化鶏(叫花鸡、jiàohuā jī):鶏を蓮の葉で包み、粘土で覆って焼いた料理で、テーブルで粘土を割って出します。
- 酔鶏(醉鸡、zuì jī):紹興酒に漬けた冷たい鶏肉で、よくある前菜です。
- 寧波湯円(宁波汤圆、Níngbō tāngyuán):黒ごまあん入りのもち米団子を、温かいお湯に入れて出します。
食べるならここ:杭州の西湖周辺や古い街並みです。杭州ガイドのほか、龍井茶の茶畑の村を訪ねたい人は中国茶ガイドもご覧ください。
福建料理(闽菜、Mǐn Cài)
福建料理は、台湾の対岸にあたる南東沿岸、福州、アモイ(厦門)、泉州あたりの料理です。海鮮とスープが中心で、新鮮で旨みがあり、ときに少し甘かったり酸っぱかったりする味です。紅麹の酒かす(红糟、hóngzāo)や魚醤を使い、スープ仕立ての料理がたくさんあります。
いちばん有名なのは「仏跳牆(佛跳墙、fó tiào qiáng)」です。アワビ、ナマコ、干し貝柱など高価な食材をたくさん入れて、じっくり煮込んだスープです。福建省政府の英語ポータルは、これを福建料理の代表料理とし、1865年創業の福州のレストラン「聚春園」を、今も営業を続けている福建省で最も古いレストランとしています。聚春園の仏跳牆の製法は2008年から国家級無形文化遺産リストに入っています。ポータルの仏跳牆のページ(英語)も読めます。名前は、あまりにいい匂いがしたので、お坊さんが寺の塀を跳び越えて食べに来た、という話から来ています。
アモイ市政府は、地元の食べ物として、生姜ダック、牡蠣のオムレツ(海蛎煎、hǎilì jiān)、薄餅(薄饼、báobǐng、春巻きの一種)、ピーナッツスープ、土笋凍(土笋冻、tǔsǔn dòng、海の虫のゼリー寄せ)、沙茶麺(沙茶面、shāchá miàn)を挙げています。さらに南の沿岸にある泉州は、2025年に中国でいちばん新しいユネスコ食文化都市になりました。中国のどこでもよく見かける安い食堂の一つ、沙県小吃(沙县小吃、Shāxiàn xiǎochī)も福建省三明市の生まれで、その製法は2021年に国家級無形文化遺産リストに加わりました。ワンタン、ピーナッツだれの和え麺、蒸し餃子を出す沙県小吃の店は、中国のほぼすべての都市にあります。
注文したい料理:
- 仏跳牆(佛跳墙、fó tiào qiáng):一人用の小さな壺で注文することが多い料理です。
- 牡蠣のオムレツ(海蛎煎、hǎilì jiān):小粒の牡蠣を卵とさつまいものでんぷんで焼いたもの。
- 魚丸湯(鱼丸汤、yúwán tāng):弾力のある魚団子のスープ。福州では中に豚肉が入っていることがよくあります。
- 沙茶麺(沙茶面、shāchá miàn):ピーナッツと干しエビのペーストのスープで食べるアモイの麺で、具は自分で選びます。
- 荔枝肉(lìzhī ròu):揚げた豚肉を甘酸っぱい赤いソースでからめた料理で、ライチに見えるように切ってあります。
食べるならここ:定番料理なら福州、海鮮と小吃ならアモイと泉州です。福州ガイドとアモイ・福建沿岸ガイドもご覧ください。
湖南料理(湘菜、Xiāng Cài)
湖南料理の辛さは、四川料理とは種類が違います。しびれる花椒はあまり使わず、辛さは生の唐辛子、漬けた唐辛子、干した唐辛子そのものの辛さで、酸味や燻製の香りが加わることもよくあります。四川料理より辛いと感じる旅行者も多くいます。湖南省政府の英語ポータルは、湖南料理を中国の八大料理の一つとし、酸っぱくて辛い、新鮮で香りがよい、色が濃いと説明しています。そして、旅行者に食べてほしい料理として、唐辛子と豚肉の炒め物、魚の頭の刻み唐辛子蒸し、長沙臭豆腐、糖油粑粑、豚の角煮、湘西(湖南省西部)の干し肉類を挙げています。この一覧は旅行者向けQ&Aページ(英語)に載っています。
省都の長沙にある老舗の食堂「火宮殿(火宫殿)」は、もともと火の神をまつる廟で、最初に建てられたのは1747年です。ここの臭豆腐は2021年に国家級無形文化遺産リストに加わりました。
注文したい料理:
- 辣椒炒肉(làjiāo chǎo ròu):湖南の日常の料理で、薄切りの豚バラ肉と青唐辛子の炒め物です。
- 剁椒魚頭(剁椒鱼头、duòjiāo yútóu):大きな魚の頭に、赤い唐辛子の漬物をたっぷりのせて蒸した料理。最後に残ったたれに麺を入れることがよくあります。
- 毛氏紅焼肉(毛氏红烧肉、Máo shì hóngshāo ròu):豚バラ肉を、カラメルにした砂糖とわずかなしょうゆで煮込んだ料理で、甘くて濃厚です。
- 長沙臭豆腐(臭豆腐、chòu dòufu):発酵させた黒い豆腐を揚げ、唐辛子だれをかけたもの。匂いは強いですが、味は匂いほど強くありません。
- 糖油粑粑(táng yóu bābā):揚げたもち米の餅に糖みつをからめた甘いおやつ。
- 腊肉(làròu):湖南西部の塩漬け燻製豚肉で、にんにくの芽や干し野菜と一緒に炒めます。
食べるならここ:長沙です。長沙ガイドもご覧ください。
安徽料理(徽菜、Huī Cài)
安徽料理は、八大菜系の中で国外ではいちばん知られていない料理です。省の南部、黄山や、宏村・西逓(西递)の古い村があるあたりの山深い徽州地方の料理です。たけのこ、山菜、きのこ、塩漬けのハム、淡水魚など、山の恵みを使います。長い時間をかけて煮込むのが特徴で、油が多く、塩気が強く、色の濃い料理になりがちです。わざと発酵させて匂いを強くする料理もありますが、味はたいてい匂いより穏やかです。季節のいちばんの楽しみは黄山の丘でとれる春のたけのこで、塩漬けのハムは多くの煮込み料理に塩気とコクを加えます。2021年の登録の時点で、安徽(徽州)料理の調理技術は国家級無形文化遺産リストに入っています。
注文したい料理:
- 臭桂魚(臭鳜鱼、chòu guìyú):魚を数日間軽く発酵させてから煮込んだ料理。匂いは強いですが、身は締まっていて旨みがあり、味は穏やかです。
- 毛豆腐(máo dòufu):豆腐に白いふわふわのカビを生やしてから焼き、唐辛子だれを添えた料理。
- 火腿燉筍(火腿炖笋、huǒtuǐ dùn sǔn):たけのことハムの煮込みで、春の料理です。塩気があり、新鮮な味です。
- 黄山燉鴿(黄山炖鸽、Huángshān dùn gē):鳩をじっくり煮込んだ澄んだスープ。
食べるならここ:黄山市(屯渓)と、山のふもとの村々です。黄山ガイドもご覧ください。
八大菜系の外側:知っておきたい郷土料理
八大菜系には、中国の多くの地域の料理が入っていません。初めての旅行者のほとんどが訪れる北京、上海、西安の料理も含まれていません。ここでは、一般的な旅行でいちばん関わってくる郷土料理を紹介します。
北京と華北
北方の料理は小麦が中心で、おなかにたまります。麺、餃子(饺子、jiǎozi)、包子(bāozi、肉まん)、焼いた平たいパンが主食で、羊肉や豚肉、たっぷりのにんにくと酢を使います。代表料理は北京ダック(北京烤鸭、Běijīng kǎoyā)です。皮がパリッとするまでアヒルを焼き、テーブルで切り分けて、薄い小麦粉の皮にねぎ、きゅうり、甘味噌と一緒に包んで食べます。北京には二つの焼き方があり、どちらも2008年から国家級無形文化遺産リストに入っています。全聚徳(全聚德)は、煙の出にくい硬い木を燃やす直火のかまどにアヒルを吊るして焼く方法、便宜坊は、直火を使わない密閉したかまどで、壁からの熱でアヒルを焼く方法です。
北京市政府の英語ポータルは、北京の代表的な味として、北京ダック、サンザシの飴がけ(冰糖葫芦、bīngtáng húlu)、炒肝(chǎogān、豚レバーと腸の煮込み)、豆汁と焦圏(豆汁儿和焦圈、dòuzhīr hé jiāoquān、緑豆を発酵させた飲み物と揚げた輪っか)、羊肉のしゃぶしゃぶ、ジャージャー麺(炸酱面、zhájiàng miàn)を挙げています。羊肉のしゃぶしゃぶ(涮羊肉、shuàn yángròu)は、薄切りの羊肉を味のついていないスープにくぐらせ、ごまだれで食べる、北京の冬の料理です。東来順の涮羊肉は国家級無形文化遺産リストに入っています。近くの天津は、狗不理包子(Gǒubùlǐ bāozi)と桂発祥麻花(桂发祥麻花、Guìfāxiáng máhuā、ねじり揚げ菓子)で知られ、どちらも国家級のリストに入っています。
朝ごはんには、煎餅(煎饼、jiānbing)を探してみてください。薄いクレープに卵、ねぎ、たれ、パリパリの揚げせんべいを包んだものです。北京グルメガイドと天津ガイドもご覧ください。

西北地方と西安
シルクロード沿いの西北地方では、小麦と羊肉を、クミンと唐辛子で味付けして食べます。料理の多くは、中国語を話すムスリムの民族である回族(Huízú)から来ているため、ハラールで豚肉を出さない店がたくさんあります。食事の中心は麺で、手で引き伸ばしたり、切ったり、ちぎったり、薄くのばしたりして作ります。
西安で食べたいもの:
- 肉夾饃(肉夹馍、ròu jiā mó):刻んだ煮込みの豚肉か牛肉を平たいパンにはさんだもので、「中国のハンバーガー」とよく呼ばれます。西安市が2016年に定めた地方標準で、公式の英語名は「Rougamo」とされました。
- ビャンビャン麺(biangbiang 面):ベルトのように幅の広い手延べ麺に、唐辛子とにんにくをのせて熱い油をかけたもの。
- 涼皮(凉皮、liángpí):もちもちした冷たい麺で、酸っぱくてピリ辛です。夏に冷たいまま食べます。
- 羊肉泡饃(羊肉泡馍、yángròu pàomó):硬い平たいパンを自分の手で小さくちぎり、それを店が濃い肉のスープで煮て出してくれる料理です(牛肉版もあります)。同盛祥の泡饃は2008年から国家級無形文化遺産リストに入っています。
さらに西の蘭州牛肉麺(兰州牛肉面、Lánzhōu niúròu miàn)は、2021年に国家級無形文化遺産リストに加わりました。おいしい一杯の基準は、澄んだスープ、白い大根、赤いラー油、緑の香菜とにんにくの葉、そして黄色みがかった麺だとされています。麺の太さは注文のときに選び、とても細い「毛細(máoxì)」から幅の広い平麺「大寛(大宽、dàkuān)」まであります。西安グルメガイド、蘭州ガイド、中国のハラール料理ガイドもご覧ください。

雲南と西南地方
中国の南西の端にある雲南は、多くの少数民族が暮らし、植物の種類もとても豊富な土地で、料理にもその両方が表れています。野生のきのこ、食用の花、新鮮なハーブ、米の麺を使い、隣のラオスやミャンマーに近い、酸っぱくて辛い味が特徴です。代表料理は過橋米線(过桥米线、guòqiáo mǐxiàn)です。とても熱い鶏スープの丼と一緒に、薄切りの肉、うずらの卵、野菜、米の麺がそれぞれ小皿で出てきて、自分でスープに入れて食べます。夏は野生きのこの火鍋(野生菌火锅、yěshēng jùn huǒguō)が地元の楽しみです。きちんとしたレストランで食べ、店員に言われた時間どおりしっかり煮てください。野生のきのこの中には、火が十分に通っていないと危険なものがあるためです。
隣の貴州は酸湯魚(酸汤鱼、suāntāng yú、魚の酸っぱいスープ)で知られています。広西では、桂林米粉(Guìlín mǐfěn)と、強い匂いで有名な柳州の螺螄粉(螺蛳粉、luósī fěn、タニシ入りの米の麺)が、どちらも2021年に国家級無形文化遺産リストに加わりました。雲南ガイドと桂林・陽朔ガイドもご覧ください。
上海と江南
上海の家庭料理は「本幇菜(本帮菜、běnbāng cài)」と呼ばれ、甘くて油が多く、しょうゆで色が濃いのが特徴です。その伝統的な調理技術は2014年に国家級無形文化遺産リストに加わり、上海郊外の南翔という町の南翔小籠(南翔小笼、Nánxiáng xiǎolóng)の製法も同じ年に登録されました。江南(「長江の南」という意味)は、上海、江蘇省南部、浙江省北部を含む広い地域なので、ここの料理は上の江蘇料理・浙江料理の章と重なります。
- 小籠包(小笼包、xiǎolóngbāo):豚肉と熱いスープが入った小さな蒸し包子。小さな穴をかじって開け、れんげの上でスープを飲んでから、残りを食べます。
- 生煎包(shēngjiān bāo):スープ入りの包子を焼いたもので、底がカリッとしていて、上にごまがかかっています。
- 紅焼肉(红烧肉、hóngshāo ròu):豚バラ肉を甘く濃いしょうゆ味で煮た、上海の家庭料理の定番です。
- 葱油拌麺(葱油拌面、cōngyóu bàn miàn):シンプルな麺に、揚げたねぎの油としょうゆをからめたもの。安くて、とてもおいしい一品です。
- 上海蟹(大闸蟹、dàzháxiè):淡水のカニで、卵やみそがたっぷり詰まる秋に食べます。
上海グルメガイドと江南水郷めぐりルートもご覧ください。
東北地方
ハルビン、瀋陽、大連のある東北地方(东北、Dōngběi)は、冬が長くとても寒い地域で、料理もその寒さに合わせたものです。量が多く、煮込み、餃子、白菜の漬物(酸菜、suāncài)、豚肉がよく出てきます。東北料理の店は、おなかいっぱいになって安いので、中国全土で人気があります。鍋包肉(锅包肉、guōbāoròu、カリッと揚げた豚肉の甘酢あん)、小鶏燉蘑菇(小鸡炖蘑菇、xiǎojī dùn mógu、鶏ときのこの煮込み)、豚肉と白菜の漬物と春雨の煮込みを試してみてください。
瀋陽では、老辺餃子(老边饺子、Lǎobiān jiǎozi)、馬家焼麦、伝統的な遼寧料理が、遼寧省の無形文化遺産リストに入っています。海沿いの大連では海鮮を食べます。市政府の食べ物紹介ページでは、焖子(mènzi、さつまいものでんぷんで作ったゼリーを焼いたもので、ナマコやエビと一緒に焼くことが多い)、海腸(海肠、hǎicháng、ユムシ)のニラ炒め、サワラの餃子(鲅鱼饺子、bàyú jiǎozi)が紹介されています。ハルビンガイド、瀋陽ガイド、大連ガイドもご覧ください。
新疆
中国の西の端にある新疆の料理は中央アジアの料理で、羊肉、平たいパン、ピラフ、手延べ麺が中心です。新疆料理の店は中国の大きな都市ならどこにでもあり、たいていハラールです。注文するなら、クミンと唐辛子で焼いた羊肉串(羊肉串、yángròu chuàn)、鶏肉とじゃがいもを辛く煮込んで幅広の麺にのせた大盤鶏(大盘鸡、dàpán jī)、手延べ麺に炒めた具をのせた拌麺(拌面、bànmiàn、ウイグル語ではラグマン)、羊肉とにんじんのピラフ(抓饭、zhuāfàn)、丸く焼いた平たいパンのナン(馕、náng)がおすすめです。
香港とマカオ
香港では広東料理に加えて、独自の喫茶文化があります。茶餐庁(茶餐厅、chá cāntīng)と呼ばれる大衆食堂では、ミルクティー、パイナップルパン、マカロニスープを出しています。マカオは広東料理とポルトガル料理が混ざっています。ポルトガル系と中国系の血を引く家庭に伝わるマカオ料理(土生葡人美食)は中国の国家級無形文化遺産リストに入っていて、マカオは2017年からユネスコ食文化都市です。香港グルメガイドもご覧ください。
中国の人はどう食べるのか:中国の食文化のあらまし
料理は地域によって変わりますが、食事の進み方は中国のどこでもだいたい同じです。ここでは、初めての旅行者がとくに驚く習慣を紹介します。テーブルマナー、乾杯、支払いについては中国のマナーとタブーのガイドで詳しく説明しています。
食事は1日3回、朝ごはんは温かくしょっぱいもの
中国の人は1日3回食事をし、時間は早めです。朝ごはんは通勤途中に屋台で買うことが多く、昼ごはんは12時ごろ、晩ごはんは夕方の早い時間に始まります。朝ごはんはたいてい温かくて、しょっぱい味のものです。北では、豆乳(豆浆、dòujiāng)と揚げパン(油条、yóutiáo)、包子、煎餅、麺などを食べます。南では、お粥(粥、zhōu)、米の麺、点心です。武漢には熱乾麺(热干面、rè gān miàn)、桂林には米粉があります。朝ごはんの屋台は午前中の早めの時間に閉まることが多いので、早めに行きましょう。ホテルの多くは、洋食のほかに中国式の朝食ビュッフェも出しています。
料理は真ん中に置いてみんなで取り分けます
中国の食事では、一人一皿ずつ注文するのではありません。みんなで料理を選んでテーブルの真ん中に置き、それぞれが少しずつ取って、ご飯と一緒に食べます。円卓のあるレストランでは、料理は回転テーブル(转盘、zhuànpán、ガラスの回る天板)にのっています。ゆっくり回し、誰かが料理を取っている最中は回さずに待ちましょう。注文の目安は「人数分の料理+1品」で、肉、野菜、スープ、辛くない料理を組み合わせるとよいでしょう。中国の反食品浪費法では、飲食店は客に頼みすぎないよう声をかけ、小盛り(小份、xiǎo fèn)など量の違うメニューを用意しなければなりません。二人だけのときは、メニューにあれば小份か半量(半份、bàn fèn)を頼んでください。

取り箸
自分の箸でほかの人に料理を取り分けるのは失礼だと考えられていて、多くのレストランでは料理ごとに取り箸(公筷、gōngkuài)や取り分け用のスプーン(公勺、gōngsháo)を置いています。一人に二膳の箸を出し、黒い箸は自分で食べる用、白い箸は取り分け用、としている店もあります。2025年6月からは、飲食業の全国的なルールで、客が必要とするときは取り分け用のスプーンと箸を用意するよう定められています。2020年の国家標準では、取り分けの方法として三つ(一人ずつ盛り付ける、取り分け用の食器を使う、自分の食器でセルフサービスにする)が示されていますが、これは任意の標準で、義務ではありません。上海には、料理ごとに取り分け用の食器を置くよう求める独自の地方標準がありますが、こちらも任意です。取り箸が見当たらなければ、「公筷」と頼めば持ってきてくれます。
ご飯は最後に出てくることがあります
宴会や大人数の食事では、主食(ご飯、麺、餃子)は料理のあと、最後に出てくることがよくあります。まだおなかがすいている人がいれば、それで満たすためです。ふつうのレストランでは、ご飯はたいてい料理と一緒に出てきますが、いつもそうとは限りません。料理と一緒にご飯を食べたいときは、注文のときに「米饭先上(mǐfàn xiān shàng、ご飯を先に出してください)」と伝えましょう。
お湯とお茶
席に着くと、ポットのお茶かコップのお湯を出してくれるレストランが多く、中国の人は一年中、温かいお湯をよく飲みます。冷たい飲み物も売っていますが、冷えたものがほしいときは「冰的(bīng de、冷たいもの)」と頼みましょう。誰かにお茶や飲み物をついでもらったら、お礼を言うのが礼儀です。口に食べ物が入っているときは、代わりに2本の指でテーブルを2回軽くたたいても大丈夫です。出てくるお茶の種類については中国茶ガイドで説明しています。
食べ残しと「完食」
昔からの習慣では、もてなす側は客が食べきれないほど注文し、客はおなかがいっぱいだと示すために少し残す、とされていました。今は全国的な「光盤行動(光盘行动、guāngpán xíngdòng、お皿を空にしよう運動)」でその逆が勧められていて、残った料理を持ち帰るのは、どんなクラスのレストランでもふつうのことです。2025年の飲食業のルールでは、飲食店は客に残り物の持ち帰りを勧め、頼まれたら容器を渡すよう定められています。「打包(dǎbāo、持ち帰りにしてください)」と頼みましょう。
中華料理のメニューの読み方
中国のメニューはたいてい長く、写真付きのものも多くあります。メニューの構成と、いくつかの漢字の意味がわかれば、翻訳アプリを開く前に食べたい料理を見つけられます。料理名はたいてい「調理法または味付け+主な食材+切り方」という形になっています。たとえば、红烧(しょうゆ煮込み)+肉(豚肉)で豚肉のしょうゆ煮込み、鱼香(魚香)+肉丝(細切り豚肉)で魚香肉絲です。日本の人は漢字から意味の見当をつけやすいのが強みですが、日本語と意味が違う字もあるので、下の表で確かめてください。
メニューの区分
| 中国語 | ピンイン | 意味 | 載っている料理 |
|---|---|---|---|
| 凉菜 | liáng cài | 冷菜 | 前菜:きゅうりのにんにく和え、冷たい鶏肉、牛肉の薄切り、漬物。最初に1〜2品頼みます。 |
| 热菜 | rè cài | 温かい料理 | メインの料理:炒め物、煮込み、蒸し魚など。たいていいちばん長い区分です。 |
| 主食 | zhǔshí | 主食 | ご飯、麺、餃子、包子、炒飯。 |
| 汤 / 汤羹 | tāng / tānggēng | スープ | 澄んだスープ、とろみのあるスープ。1テーブルにスープ1品でたいてい十分です。 |
| 点心 / 小吃 | diǎnxin / xiǎochī | 点心・軽食 | 餃子、包子、甘いものやしょっぱいものの小さな一品。 |
| 招牌菜 / 特色菜 | zhāopái cài / tèsè cài | 看板料理・名物料理 | その店の自慢の料理。最初に頼むなら安心です。 |
| 酒水 / 饮料 | jiǔshuǐ / yǐnliào | 飲み物 | ビール、紹興酒などの醸造酒、ソフトドリンク、ジュース、お茶。 |
調理法を表す字
中国料理の調理法は、ここに挙げたものよりはるかにたくさんあります。四川料理だけでも40以上あり、「蒸す」だけでも何種類かに分かれます。よく目にするのは次のものです。
| 漢字 | ピンイン | 意味 | 例 |
|---|---|---|---|
| 炒 | chǎo | 炒める | 炒青菜 青菜炒め |
| 爆 | bào | ごく強い火でさっと炒める | 葱爆羊肉 羊肉のねぎ強火炒め |
| 烧 | shāo | 煮込む(たれで煮る) | 烧茄子 なすの煮込み |
| 红烧 | hóngshāo | しょうゆと砂糖で煮込む | 红烧肉 豚肉のしょうゆ煮込み |
| 蒸 | zhēng | 蒸す | 蒸饺 蒸し餃子 |
| 炖 | dùn | じっくり煮込む | 小鸡炖蘑菇 鶏ときのこの煮込み |
| 焖 | mèn | ふたをして煮る | 黄焖鸡 鶏肉の土鍋煮込み |
| 烤 | kǎo | 焼く・あぶる | 烤鸭 ローストダック、烤串 串焼き |
| 拌 | bàn | 和える(たいてい冷たい料理) | 拌黄瓜 たたききゅうりの和え物 |
| 炸 | zhà | 揚げる | 炸春卷 揚げ春巻き |
| 煮 / 水煮 | zhǔ / shuǐzhǔ | ゆでる/辛いスープで煮る | 水煮鱼 魚のラー油スープ煮(とても辛い) |
| 干煸 | gānbiān | 表面が少しカリッとするまで炒りつける | 干煸四季豆 いんげんの炒りつけ |
| 卤 | lǔ | 香辛料入りのしょうゆだれで煮る | 卤蛋 煮卵 |
味を表す言葉
| 言葉 | ピンイン | どんな味か | 辛い? |
|---|---|---|---|
| 麻辣 | málà | しびれて辛い(花椒+唐辛子) | 辛い(かなり辛いことが多い) |
| 香辣 | xiānglà | 香ばしく辛い。炒めた唐辛子の辛さで、しびれは少なめ | 辛い |
| 鱼香 | yúxiāng | 「魚香」:甘い、酸っぱい、にんにく、漬けた唐辛子。魚は入っていません | 少し辛い〜中くらい |
| 宫保 | gōngbǎo | 宮保:乾燥唐辛子、少し甘酸っぱく、ピーナッツ入り | 少し辛い〜中くらい |
| 酸辣 | suānlà | 酸っぱくて辛い。酢とこしょう | 中くらい |
| 糖醋 | tángcù | 甘酢 | 辛くない |
| 清蒸 | qīngzhēng | シンプルに蒸す。薄口しょうゆ、生姜、ねぎ | 辛くない |
| 椒盐 | jiāoyán | 塩こしょう味。たいてい揚げ物 | 少しだけ |
| 蒜蓉 | suànróng | 刻みにんにくたっぷり | 辛くない |
| 酱香 / 酱爆 | jiàngxiāng / jiàngbào | 味噌だれの旨み | たいてい辛くない |
食材を表す字もいくつか覚えておくと便利です。鸡(jī)鶏肉、牛(niú)牛肉、猪または肉(zhū、ròu)豚肉、羊(yáng)羊肉、鱼(yú)魚、虾(xiā)エビ、豆腐(dòufu)豆腐、蛋(dàn)卵、菜(cài)野菜。切り方を表す字で形がわかります。丝(sī)細切り、片(piàn)薄切り、丁(dīng)さいの目切り、块(kuài)ぶつ切りです。
ひと目でわかる比較表
辛さの欄は、その料理系統の典型的な料理がどのくらい辛いかの大まかな目安で、決まりではありません。どの料理系統にも辛くない料理はあります。
| 料理系統 | 地域と都市 | 味 | 辛さ | まず食べたい料理 |
|---|---|---|---|---|
| 四川料理 川菜 | 西南:成都、重慶 | しびれて辛い(麻辣)、味の種類が多い | 辛い | 麻婆豆腐、火鍋 |
| 広東料理 粤菜 | 南:広州、順徳、香港 | あっさり、新鮮、蒸し料理 | 辛くない | 点心、清蒸魚 |
| 山東料理 鲁菜 | 北部沿岸:済南、青島、曲阜 | 塩気と旨み、ねぎと酢 | 辛くない | 糖醋鯉魚 |
| 江蘇料理 苏菜/淮揚料理 | 東:南京、揚州、蘇州 | 繊細、やや甘め、澄んだスープ | 辛くない | 獅子頭 |
| 浙江料理 浙菜 | 東:杭州、寧波 | 新鮮、まろやか、紹興酒 | 辛くない | 東坡肉 |
| 福建料理 闽菜 | 南東沿岸:福州、アモイ、泉州 | 旨みのあるスープ、海鮮、甘酸っぱい | 辛くない | 牡蠣のオムレツ、仏跳牆 |
| 湖南料理 湘菜 | 中南部:長沙 | 辛い、酸っぱい、燻製の香り | とても辛い | 辣椒炒肉 |
| 安徽料理 徽菜 | 東:黄山 | 素朴、油が多め、発酵させたものも | 辛くない〜中くらい | 臭桂魚 |
| 北京料理 | 北:北京、天津 | 塩気が強くボリュームがある、小麦 | 辛くない | 北京ダック、ジャージャー麺 |
| 西北料理 | 西安、蘭州 | 羊肉、クミン、麺、ハラールが多い | 中くらい | 肉夾饃、蘭州牛肉麺 |
| 雲南料理 | 西南:昆明、大理 | 酸っぱい、辛い、ハーブ、きのこ | 中くらい | 過橋米線 |
| 上海料理 | 東:上海 | 甘い、しょうゆ味が濃い、油が多め | 辛くない | 小籠包、紅焼肉 |
| 東北料理 | ハルビン、瀋陽、大連 | ボリュームのある煮込み、白菜の漬物 | 辛くない | 鍋包肉、餃子 |
| 新疆料理 | 西の端、店は全国にあり | 羊肉、クミン、平たいパン | 中くらい | 羊肉串、大盤鶏 |
中国で食事をするときの実用ポイント
どれも専用のガイドがあるので、ここでは要点だけまとめます。
- 中国語がわからなくても注文できます:写真を指さす、テーブルのQRコードを読み取ってページを翻訳する、スマホに料理名を表示して見せる、のどれかで注文できます。中国語ゼロで料理を注文する方法では、屋台からQRコードのメニューまで、場面ごとに説明しています。
- 便利なひとこと:不辣(bù là、辛くしない)、打包(dǎbāo、持ち帰り)、买单(mǎidān、お会計)。ほかの言い方はサバイバル中国語フレーズ集にあります。
- ハラール:ハラールの店は見つけやすく、とくに回族や新疆の店、蘭州牛肉麺の店が該当します。看板に「清真(qīngzhēn、ハラール)」とあるのが目印です。中国のハラール料理ガイドもご覧ください。
- ベジタリアン・ヴィーガン:野菜料理でもラードや肉のスープで作っていることが多いので、確認が必要です。ベジタリアン・ヴィーガンガイドでは、安心して頼める料理と仏教の精進料理店を紹介しています。
- 屋台グルメ:屋台グルメの街ガイドで、行くべき街とそれぞれで食べたいものを紹介しています。
- 食の安全とアレルギー:水道水は沸かさずに飲まないでください。アレルギーがある人は、書いたメモを持ち歩きましょう。食の安全と食事制限のガイドもご覧ください。
- チップ:中国本土のレストランではチップは求められません。また旅游法により、資格を持つ旅行ガイドはチップを求めてはならず、求めたガイドには罰金が科されることがあります。詳しくはチップのガイドをご覧ください。
最初の夜に誰かに注文を任せたいなら、成都、西安、広州で参加できる少人数のフードツアーがおすすめです。ひと晩でいくつもの地元料理を食べられ、何を食べているのか説明も聞けます。ツアーはKlookで比べられます。もう一つの手軽な方法は料理教室です。成都で麻婆豆腐を作ったり、北京で餃子を包んだりすると、上で紹介した味の言葉を、実際に作りながら覚えられます。教室はCooklyで探せます。
まとめ
中国料理は一つの料理ではなく、たくさんの郷土料理の集まりです。中国の人がふつう使う分け方が八大菜系(四川、広東、山東、江蘇、浙江、福建、湖南、安徽)で、北京、西安、上海、雲南、東北、新疆にもそれぞれ独自の料理があります。ざっくり言うと、辛いのは四川と湖南、あっさりかやや甘めなのは広東、江蘇、浙江、そして北と西北は小麦と羊肉が中心です。食卓では、料理をみんなで分け、取り箸を使い、食べきれなかった分は持ち帰りましょう。新しい都市に着いたら、地元の名物は何かを聞いて、まずそれを注文してください。次は、最初に訪れる都市のグルメガイドと、中国語ゼロで料理を注文する方法を開いてみてください。
よくある質問
中国の八大菜系(八大料理)とは何ですか?
四川料理(川菜)、広東料理(粤菜)、山東料理(鲁菜)、江蘇料理(苏菜、淮揚料理〈淮扬菜〉とも呼ばれます)、浙江料理(浙菜)、福建料理(闽菜)、湖南料理(湘菜)、安徽料理(徽菜)の八つです。これは中国の人が郷土料理をまとめるときの一般的な分け方で、公式の分類ではありません。公式に認められているのは中国料理の技全体で、「中国料理の調理技術と食習慣」が2021年から国家級無形文化遺産リストに入っています。北京ダックや西安の麺など、八大菜系に入らない有名な料理もあります。
いちばん辛い中国料理はどれですか?辛いものが苦手な人は何を食べればいいですか?
いちばん辛いのは湖南料理と四川料理です。湖南料理の辛さは唐辛子そのものの辛さで、酸味や燻製の香りを伴うことがよくあります。四川料理の辛さには、しびれる花椒が加わります。重慶火鍋や、四川の「水煮(shuǐzhǔ)」と名の付く料理は、注文できる料理の中でもとくに辛い部類です。辛いものを避けたいなら、広東、江蘇、浙江、山東、福建、上海、北京の料理はほとんどが辛くありません。どこでも安心して頼めるのは、清蒸魚(清蒸鱼)、トマトと卵の炒め物(番茄炒蛋、fānqié chǎo dàn)、甘酢の料理(糖醋)、餃子、炒飯、澄んだスープです。四川料理や湖南料理の店では「不辣(bù là)」と伝え、料理名に「麻辣」「香辣」が入っていないものを選んでください。
中国の北の料理と南の料理はどう違いますか?
北は小麦、南は米を食べます。北では食事に麺、餃子、蒸しパン、平たいパンが付き、味は塩気が強く濃いめで、羊肉、にんにく、酢をよく使います。南ではご飯が中心で、調理はあっさりと新鮮さを生かし、海鮮、蒸し料理、じっくり煮込んだスープが大切にされています。辛い料理の多くは西南(四川、湖南、雲南)にあり、東(上海、江蘇、浙江)は甘めの味付けです。違いがいちばんよくわかるのが朝ごはんで、北京なら豆乳と揚げパン、広州なら点心かお粥です。
中国で食べる中国料理と、海外の中華料理はどう違いますか?
海外の中華料理店の多くは広東料理から始まり、その土地の好みに合わせて変わってきました。ソースが甘くとろみが強い、揚げ物が多い、一皿の肉の量が多い、といった変化です。日本の中華料理も、日本人の口に合わせて独自に変わってきたものです。ジェネラル・ツォ・チキン、チャプスイ、クラブラングーン、フォーチュンクッキーといった料理は、中国ではほとんど見かけません。中国では、地域ごとの料理の幅がずっと広く、野菜が多く、骨付きの肉や魚一尾をそのまま使う料理、内臓料理もよく出てきます。海外のメニューでは控えめにされる麻辣のしびれる辛さのような味もそのままです。料理は一人一皿ではなくテーブルの真ん中に置いてみんなで分け、ご飯は注文しないと付いてこないこともあります。宮保鶏丁や炒飯はどちらにもありますが、中国のものはたいてい甘さもソースも控えめです。
最終更新日:2026年10月
ファクトチェック済みの出典
- 公式 zwgk.mct.gov.cn
- 公式 ccas.com.cn
- 公式 gov.mo 2 ページ
- 公式 UNESCO 5 ページ
- 公式 sc.gov.cn
- 公式 scdfz.sc.gov.cn
- 公式 Chinese central government (gov.cn) 4 ページ
- 公式 gz.gov.cn
他 19 件の出典を表示
- 公式 yangjiang.gov.cn
- 公式 Nanjing Municipal Government
- 公式 Wuxi Municipal Government
- 公式 Fujian Provincial Government
- 公式 Xiamen Municipal Government 3 ページ
- 公式 fjsx.gov.cn
- 公式 hunan.gov.cn 2 ページ
- 公式 enghunan.gov.cn
- 公式 Beijing Municipal Government 2 ページ
- ce.cn
- 公式 ihchina.cn
- 公式 xa.gov.cn
- The Paper (thepaper.cn)
- 公式 Liaoning Provincial Government
- 公式 Dalian Municipal Government 3 ページ
- 公式 Gansu Provincial Government Services portal
- 公式 Shanghai Municipal Government 2 ページ
- 公式 scjg.fuxin.gov.cn
- 公式 npc.gov.cn
最終確認日: 2026-11-02
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