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甘粛省の張掖(ちょうえき)市郊外に広がる縞模様の砂岩の丘陵地帯、通称「虹の山(レインボーマウンテン)」は、多くの旅行者がこの地を訪れる最大の理由です。赤・オレンジ・黄色・クリーム色の岩石が層状に重なり、長年の浸食によって削り出された縞模様は、加工なしの本物の色彩です。光が斜めに差し込む日の出直後と日没前の1時間が、最もその色が輝く絶好の時間帯です。
張掖市自体はこぢんまりとした地方都市ですが、蘭州と敦煌を結ぶシルクロードの要衝に位置し、見ごたえのある古刹も点在しています。このガイドでは、アクセス方法・宿泊・観光スポット・必要な日数まで、日本人旅行者が知りたい情報を網羅しています。

張掖の基本情報
張掖(张掖、Zhāngyè)は、祁連山脈とゴビ砂漠に挟まれた細長い回廊地帯「河西回廊」に位置する小規模な地級市です。かつてはシルクロードを行き来する隊商・僧侶・軍隊が行き交う要所でした。市名は「腕を伸ばす」という意味で、漢の時代に中国の勢力を西方へ伸ばしたことに由来します。現在は清潔で落ち着いた地方都市で、外国人旅行者の多くは1〜2泊の経由地として訪れます。
メインの見どころは市内から西へ約35〜40kmの場所にある張掖丹霞国家地質公園です。市内と近郊には大仏寺、さらに足を延ばすと断崖に刻まれた馬蹄寺もあります。ゆったり観光するなら2日間、急ぎ足なら1日でも主要スポットを回ることができます。
ベストシーズンと時期別の特徴
日本人旅行者が特に気にする「いつ行けばいいか」について、時期別に詳しく解説します。
| 時期 | 天候・景観 | 混雑度 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| 夏(6〜8月) | 日照時間が長く、温暖で乾燥。色彩が鮮やか | ★★★(7〜8月は特に混雑) | ◎ |
| 秋(9〜11月) | 澄んだ空気で光が美しい。朝晩は冷える | ★★(9月連休後は落ち着く) | ◎(最もおすすめ) |
| 春(3〜5月) | 風が強く砂嵐の恐れあり。視界が悪い日も | ★(比較的空いている) | △ |
| 冬(12〜2月) | 寒冷。雪景色との組み合わせは幻想的だが日照短 | ★(閑散期) | △ |
※ 色が最も鮮やかに見えるのは、雨上がりの直後か、朝夕の斜光が差し込む時間帯です。正午前後の強い日差しは色を白飛びさせてしまいます。時間に余裕があれば、日没時刻に合わせた訪問を強くおすすめします。
張掖へのアクセス
蘭州から(最もメジャーなルート)
多くの旅行者は蘭州を起点とします。蘭州西駅から張掖西駅まで高速鉄道(中国版新幹線)で約2.5〜3時間。快適で最もおすすめの移動手段です。この路線は西方の嘉峪関・敦煌方面へも続いており、シルクロード旅程にすっきり組み込めます。
夜行の普通列車も運行しており、ホテル代を節約したい方には選択肢の一つですが、高速鉄道(中国版新幹線)の追加料金を払う価値は十分あります。
時刻表の確認と事前予約は、英語対応のTrip Com Trainが便利です。駅での受け取りやQRコードでの乗車にも対応しています。公式サイトかつ最安値で購入したい場合は12306.cn(中国鉄道公式サイト)も利用できますが、外国人向け登録フローがやや複雑です。

敦煌から(西側からのアクセス)
敦煌側から来る場合も高速鉄道(中国版新幹線)が利用できます。柳園・嘉峪関経由で約4〜5時間。「西安 → 張掖 → 嘉峪関 → 敦煌」と一方向に移動する旅程が、折り返しなく効率的です。
飛行機
張掖には甘州空港という小規模な空港がありますが、便数が限られており、主に蘭州や西安経由の国内線のみ。多くの旅程では高速鉄道(中国版新幹線)の方がトータルの移動時間が短く、柔軟性も高いでしょう。
市内・近郊の移動手段
張掖観光の最大の課題は、主要スポットが三方向に散らばっていることです。地質公園・馬蹄寺・大仏寺はそれぞれ異なる方向にあります。現実的な移動手段は以下の通りです。
| 移動手段 | メリット | デメリット | おすすめ場面 |
|---|---|---|---|
| チャーター車(運転手付き) | 最も効率的、複数スポットを1日で回れる | 事前に料金・コース確認が必要 | 2カ所以上回る場合 |
| Didi(滴滴)・タクシー | 単発の移動に便利 | 馬蹄寺など遠隔地では帰りの車を捕まえにくい | 市内移動や単一スポット訪問 |
| 観光シャトルバス | 地質公園へは季節運行で便利 | 時刻表が固定。日没に合わせた訪問が難しい場合も | 繁忙期の地質公園訪問 |
※ 馬蹄寺へ向かう場合は、ドライバーに現地で待機してもらうか、帰りの時間を事前に約束しておくことをおすすめします。
張掖丹霞国家地質公園:虹の山の楽しみ方
張掖観光のハイライトです。数千万年かけて堆積した縞模様の砂岩・礫岩が、隆起と浸食によって丘陵や波状の地形を作り出しています。赤や黄色の縞は、鉄酸化物などのミネラルを含む地層が露出したものです。

公園内の回り方
入場後はシャトルバスで4カ所の展望台を巡る仕組みになっており、徒歩で全エリアを歩くことはできません(禁止されています)。各展望台にはボードウォークと展望スポットがあり、それぞれ異なる景観が楽しめます。
- 第4展望台:最も広大で色鮮やかなパノラマが見られると評判。多くの旅行者が「ここが一番」と口を揃えます。
- その他の展望台:それぞれ光の当たり方が異なり、立ち寄る価値あり。
じっくり回るなら3〜4時間を確保してください。
光を読む:訪問のベストタイミング
地質公園の楽しみ方は「光の読み方」にかかっています。日中の強い日差しは色を飛ばしてしまうため、日没の約90分前に到着し、シャトルバスで遠い展望台から順に巡りながら色が深まっていく様子を楽しむのがベストです。
写真撮影のコツ:望遠レンズを持参すると、稜線の縞模様を切り取った印象的な1枚が撮れます。広角での全景撮影よりも、縞模様に寄ったタイトなフレーミングがおすすめです。
持ち物チェックリスト
- ✅ 歩きやすい靴(展望台周辺は足場が不安定な箇所あり)
- ✅ 日焼け止め・帽子・サングラス(遮る物がなく日差しが強烈)
- ✅ 薄手のスカーフやバフ(砂埃が舞いやすい)
- ✅ 飲み水と軽食(園内の売店は少なく品数も限られる)
- ✅ カメラ用望遠レンズ(縞模様のクローズアップに◎)
※ ボードウォーク以外の場所への立ち入りは禁止されています。地層を踏み荒らさないよう、必ず遊歩道の上を歩いてください。
交通手段・入場券・時間調整をまとめて解決したい方には、ガイド付きの日の出・日没ツアーがおすすめです。ホテル送迎と英語ガイド付きのツアーはKlookで検索・予約できます。
馬蹄寺(まてい寺)
張掖市内から南へ約60km、祁連山脈の山麓に位置する馬蹄寺(马蹄寺、Mǎtí Sì)は、砂岩の断崖に直接刻まれた仏教石窟寺院です。「馬の蹄」という名前は、天馬がこの岩に蹄の跡を残したという伝説に由来します。1,500年以上前に開削が始まった石窟群は複数の層にわたって掘られており、断崖の内部を貫く狭い階段と通路を上り下りしながら見学します。

景観の魅力は彫刻だけではありません。寺院の前には緑豊かな草原と雪を頂いた山々が広がり、この地域はユグル族(テュルク系少数民族)の居住区でもあります。地質公園に比べて訪れる観光客が少なく、静かな雰囲気を楽しめます。
断崖内部の通路は急勾配で狭い箇所があります。高所や狭い場所が苦手な方は事前に心の準備を。往復の移動時間を含めて半日程度を見ておきましょう。
張掖大仏寺
張掖市の中心部にある大仏寺(大佛寺、Dàfó Sì)は、市内で最もアクセスしやすく、かつ見ごたえのある観光スポットです。ここには中国最大の屋内涅槃仏が安置されています。全長約35mの木造の横たわる仏像は、仏陀が涅槃に入る姿を表しています。西夏時代(約1,000年前)に建立されたお堂は薄暗く、ひんやりとした空気の中に独特の荘厳な雰囲気が漂います。

※ 仏像の撮影は通常禁止されています。カメラをしまって、ゆっくりとその存在を感じてください。境内には木造の塔や小さな博物館もあります。見学時間は1〜1.5時間が目安。市内中心部にあるため、地質公園の光待ちをしている時間帯に組み合わせると効率的です。
グルメ情報:張掖で食べたいもの
張掖の食は小麦を中心とした中国西北料理。羊肉・牛肉を使った料理が多く、ボリュームたっぷりです。
| 料理名 | 説明 | おすすめ度 |
|---|---|---|
| 羊肉串・手打ち麺(拉麺) | 西北料理の定番。どこでも外れなし | ★★★ |
| 醸皮子(ニャンピーズ) | 冷たい小麦澱粉の麺に辛酢ソース。地元の屋台料理の定番 | ★★★ |
| 搓魚面(ツオユーミェン) | 小魚型の手打ち麺。野菜や肉と炒める | ★★ |
| 羊肉火鍋(ホットポット)・土鍋料理 | 涼しい季節に特においしい | ★★ |
市内中心部の夜市や食街(食べ歩きエリア)が最も手軽です。中国語が読めなくてもメニューを指差すか、見本を指せば注文できます。注文の基本は中国語ゼロでも料理を注文するガイドをご参照ください。
宿泊情報
宿泊は張掖市内中心部をおすすめします。大仏寺・夜市・交通機関にアクセスしやすく、地質公園へも車でスムーズに向かえます。日の出撮影を狙う方には、公園入口近くに簡素な宿泊施設も数軒あります。
市内にはビジネスホテル・中級ホテル・ゲストハウスなど幅広い選択肢があります。連休シーズン以外は料金も手頃です。英語レビュー付きのホテル検索・予約はBooking.comが便利です。
モデルコース
1日コース(駆け足版)
- 午前:大仏寺を見学(約1.5時間)
- 午後〜夕方:張掖丹霞国家地質公園へ移動。日没に合わせてシャトルバスで各展望台を巡る
- 夜:市内に戻り夜市で夕食
2日間コース(おすすめ)
- 1日目:張掖着・ホテルチェックイン → 大仏寺・市内散策 → 地質公園で日没鑑賞
- 2日目:馬蹄寺と周辺の草原景観へ日帰り → 夕方の列車で次の目的地へ(または1泊追加)
シルクロード旅行への組み込み方
張掖は単体よりも、シルクロードの旅の「一コマ」として訪れると格段に充実します。定番ルートは西安を出発点に、河西回廊を西へ進みながら蘭州 → 張掖 → 嘉峪関(万里の長城の西端)→ 敦煌(仏教石窟と砂漠の砂丘)を巡るもの。高速鉄道(中国版新幹線)の整備により、かつての隊商が何週間もかけて移動した距離を、今では数時間で移動できます。
シルクロード旅行の全体像は西安〜敦煌シルクロード旅行ガイドを、次の主要停車地は敦煌&シルクロードガイドをご覧ください。東側からのアクセスには蘭州完全ガイドも参考にどうぞ。
日本人旅行者によくある疑問
Q. キャッシュレス決済は使えますか?
アリペイ(支付宝)やWeChat Pay(微信支付)が広く使われています。外国発行のクレジットカードをアリペイ(支付宝)に登録することも可能です。現金(人民元(RMB))も必要な場面があるため、ある程度の現金も持参してください。
Q. インターネット環境はどうですか?
中国ではGoogle・LINE・Instagramなどはグレートファイアウォールによりブロックされています。VPNを事前に準備しておくと安心です(中国に入国してからのVPNアプリのダウンロードは困難です)。SIMカードは現地SIMか海外ローミングが選択肢になります。eSIMは旅行前に契約できて便利です。
Q. トイレ事情は?
地質公園内の展望台や施設のトイレは整備されています。ただし中国式(和式に近い蹲踞型)のトイレが多いため、慣れていない方はティッシュを持参することをおすすめします。
Q. 地質公園の入場券はどこで買えますか?
入場券は公園のゲート窓口で購入できますが、繁忙期はオンラインや旅行会社経由での事前購入がスムーズです。料金やシャトルバスの運行形態は季節により変更される場合があるため、訪問前に最新情報を確認してください。
まとめ:張掖訪問のポイント
- ✅ 日没の光を最優先にスケジュールを組む
- ✅ 交通手段は事前に手配(見どころが分散しているため)
- ✅ パスポートを常に携帯(宿泊届出・公安届出に必要)
- ✅ 飲み水と日焼け対策を忘れずに
- ✅ 大仏寺と馬蹄寺も時間を惜しまず見学を
- ✅ 蘭州〜敦煌のシルクロード旅程に組み込むと充実度UP
- ✅ 入場料・シャトルバス情報・列車時刻は渡航直前に再確認
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最終更新:2026年6月
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