お金と決済

中国の支払い事情まとめ:モバイル決済・銀行カード・現金・デジタル人民元

中国の支払いは、モバイル決済・銀行カード・現金・デジタル人民元の4つの層でできています。それぞれが実際にどこまで使えるのか、出発前に何を準備しておけばいいのかを、実情に沿って順番に説明します。

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中国は、クレジットカードが主役になる段階をほぼ飛ばして、現金からそのままスマホ決済に移った国です。いまでは麺屋さんでもタクシーでもお寺のチケット窓口でも、示されるのはQRコードです。外から見るとバラバラに見えますが、仕組みとしてはきちんと層になっています。政府は主要な商業エリア・観光地・娯楽施設・ホテルに「高額はカード、少額はQRコード決済、現金は最後の受け皿」という原則を課していて、こうした場所は3つすべてに対応する義務があります。中央銀行(中国人民銀行)が出している外国人向け決済ガイドには、支払い方法としてモバイル決済・銀行カード・現金・デジタル人民元・中国国内の銀行口座の5つが挙げられています。銀行口座が必要になるのは長期滞在の場合だけです。つまり旅行者がやるべきことは、残り4つから自分に合う組み合わせを選ぶことです。この記事では、それぞれの層の得意な場面・使えない場面・出発前にやっておく準備を順番に説明します。

モバイル決済――旅行中いちばん使う層

中国のQRコードのほぼすべての裏側にいるのは、Alipay(アリペイ/支付宝)とWeChat Pay(ウィーチャットペイ/微信支付)の2つです。どちらも外国発行の銀行カード(クレジット・デビットカード)を登録できます。Alipayの公式リストはVisa・Mastercard・JCB・Diners Club・Discoverの5つですが、最新の対応カードはアプリの「Add Card」画面に表示されるものが正で、どのガイド記事よりもその画面が優先です。WeChat Payの公表リストはこの5つにAmerican ExpressとUnionPay Internationalを加えたもので、こちらも最新版は「Add Card」画面で確認できます。登録は思っているより簡単です。日本の携帯番号でアカウントを作り、初回の支払いまでにパスポートで本人確認を済ませる、という流れです。

レジでの使い勝手は、2つのアプリでほとんど同じです。どの支払いでも、確定する前に確認画面に手数料が表示されます――信じていい数字は、そこに出ているものです。目安になるのはWeChat Payが公表している最新の手数料体系で、1回200元までは無料、200元を超える支払いには金額全体に3%――つまり100元につき3元――の手数料がかかります。Alipayも実際のところほぼ同じ水準です。麺一杯、地下鉄、ペットボトルの水など、日常の買い物は200元のラインを大きく下回るので、旅行中の支払いの大半にアプリの手数料はかかりません。大きな支払いでラインを超えても、負担は小さいままです。たとえば1,000元のホテル代なら3%で30元――日本でコーヒー1杯ほどの金額で、正確な数字は承認する前に確認画面に表示されます。利用限度額も心配いりません。本人確認を済ませれば、中央銀行のルールで1回5,000米ドル・年間5万米ドルまで使えます。普通の旅行でこの枠に近づくことは、まずありません。もう1つ、中国ではなく日本側でかかる費用があります。カードの発行銀行が、海外利用手数料としておよそ1〜3%を別途上乗せすることがあるのです。お手持ちのカードがそのタイプなら、WiseRevolutのようなマルチカレンシー対応のトラベルカードが、まさにこの問題のために作られています。

おすすめはシンプルです。出発前に、自宅で両方のアプリを入れておいてください。支払いのメインはAlipayにしましょう。手順はAlipayに外国カードを登録するガイドにまとめてあります。そのうえで、WeChat Payも使える状態にしておいてください。中国の日常の半分はWeChatの中で回っているからです。WeChat Pay特有の注意点はWeChat Payの設定ガイドで説明しています。1つのアプリにかかる時間は、ソファに座って10分ほど。同じ作業を時差ボケの頭で到着ロビーでやると、ずっと長くかかります。早めに済ませておくのが安心です。

Traveler paying by phone QR code at a modern Chinese cafe counter

実際の支払いはこう進みます

支払い方は2パターン覚えれば、全国どこのお店でも通用します。1つ目は小さなお店向け――麺屋さんや果物の屋台です。お店に貼ってある印刷済みのコードを自分のスマホで読み取り、言われた金額を入力して、確認画面をお店の人に向けて見せれば完了です。2つ目はレジのあるお店向け――スーパー、チェーン店、地下鉄の改札です。自分のアプリで支払いコードを表示し、お店側がスキャナーをかざして、ピッと鳴ったら完了です。どちらのパターンか分からないときは、前に並んでいる人を見てください。1人分の支払いを見れば、流れが全部分かります。レストランには1つだけ独特の流れがあります。テーブルに貼ってあるコードは、支払いページではなく注文メニューにつながっていることが多いのです。スマホで料理を選べば、会計も同じ流れの中で済みます。どの場面でも中国語は一言も要りません。こちらが迷っていれば、お店の人が正しいやり方を身振りで示してくれます。

銀行カード――使えますが、日本より範囲は狭めです

日本と同じ感覚で、カードをそのまま出して払いたいと思うかもしれません。使える場所は確かにあります。ホテル、空港、デパート、高級レストランなら大丈夫です。ただ、そこから一歩外に出ると、使える確率は一気に下がります。北京・上海・広州・深センの主要商業エリアを対象にした調査では、外国カードに対応していた小売・飲食店は10軒中4軒未満でした。お昼を実際に食べることになる麺屋さんでは、使えない前提でいてください。市場の屋台やタクシーも同じです。物理カードは「大きな買い物のための道具」と割り切って、日常の支払いに使う想定は外しておくのが現実的です。実際にどこで使えるかは中国での海外カード利用ガイドに整理してあります。

一方、ATMは頼りになります。中国銀行(Bank of China)のATMはUnionPay・Visa・Mastercard・JCB・American Expressに24時間対応していて、同行の最新の公表ルールでは1回の引き出し上限は3,000元です――食事・地下鉄・入場券なら数日分をまかなえる金額です。中国農業銀行のATMでもクレジットカードでの引き出しができて、1日5回・合計5,000元までです。着陸してすぐ空港のATMで下ろすのが、当座の現金を手にするいちばん早くて確実な方法です。

現金――法律が守ってくれる最後の受け皿

人民元の現金は法定通貨で、受け取りを拒否するのは法律違反です。取り締まりも実際に行われていて、2023年末から続く全国的な是正キャンペーンでは、処罰を受けた事業者も出ています。もしお店で現金を断られたら、苦情窓口の電話番号は12363です。持ち歩く金額は、不安をあおる体験談で言われるほど多くなくて大丈夫です。数百元あれば、スマホが役に立たない場面――ごく小さな屋台、地方の路線バス、それに電池が切れたときの自分のスマホ――をカバーできます。

現金の入手は難しくありません。銀行の窓口では、パスポートだけで主要通貨を両替できます――中国銀行の窓口が扱うのは38通貨です。ホテルや空港も使えます。認可を受けたホテルフロントや空港カウンターは1,300か所以上あり、両替は1日10,000元までです。ただしそのレートは銀行よりおよそ5〜10%悪く、固定手数料も別にかかります。数百ドルを両替すると、その差はだいたい夕食1回分です。ホテルと空港は緊急用、それ以外は銀行、と使い分けてください。初日から続けたい習慣が1つあります。両替のたびに渡される控え(「水単」と呼ばれる伝票)を、全部取っておくことです。原本の控えは24か月有効で、これがあれば余った人民元を、市中では1日500ドルまで、出国手続き後の空港カウンターでは1日1,000ドルまで外貨に戻せます。入国時には税関のルールが2つあります。5,000ドルを超える外貨現金は申告が必要で、人民元の現金は1回の入国につき20,000元までです。両替の詳しい手順は両替場所ガイドにまとめてあります。

Currency exchange counter at a Chinese bank branch with exchange rate board

デジタル人民元――面白い存在、ただし完全に任意です

e-CNY(デジタル人民元/数字人民币)は中央銀行が発行するデジタル現金で、専用アプリがあります。旅行者でも本当に使えます。210以上の国・地域の携帯番号で登録でき、中国の銀行口座は不要、チャージはVisaかMastercardからできます。匿名で開設できる入門用ウォレットには上限があり、1回2,000元・1日5,000元です。食事や入場券には十分、本格的な買い物には窮屈な枠です。使えるのはe-CNYの受け入れマークを掲げたお店と、滴滴(Didi)・美団(Meituan)・携程(Ctrip)などのアプリ内で、個人間の送金はできません。正直な評価を言えば、ほとんどの旅行者にとって「興味があれば試すもの、予備としてはまずまず」であって、必需品ではありません。e-CNYにできることは、AlipayとWeChat Payですべてカバーできるからです。技術そのものに興味があるなら、旅行者向けデジタル人民元の記事で詳しく掘り下げています。

知っておくと得する2つの新しい動き

1つ目。いまスマホに入っているウォレットが、そのまま中国で使えるかもしれません。Alipay+というネットワークを通じて、マレーシア・韓国・シンガポールなどの10を超える海外電子ウォレットの利用者は、使い慣れたアプリのまま中国本土の支払いコードを直接読み取れます――新しいアプリを入れる前に、お使いのウォレットが対象に入っているか確認してみてください。2つ目。税金の払い戻しが楽になりました。2025年4月から、条件を満たす外国人旅行者は、空港で列に並ぶ代わりに買い物したその場でVAT(増値税)の還付を受け取れるようになり、受け取り方法はカード・現金・AlipayまたはWeChat Payから選べます。

結局、何を準備すればいいか

旅のタイプ出発前に準備するもの予備の手段現金
週末の都市旅行Alipay+主要ブランドのクレジットカード1枚ホテルと空港はカードが使えます屋台とタクシー用に少しだけ
2週間・複数都市AlipayとWeChat Payを、初日に本人確認まで済ませるATMで引き出せるカードを補充用に数百元(銀行ATMで随時補充)
メインカードがAmexまずWeChat Pay――公表リストにAmexが入っています。最新の状況は「Add Card」画面でご確認ください中国銀行のATMはAmexに対応しています平均より少し多めに
カードと現金でいきたいカードが使えるホテルを予約し、両替は銀行窓口で現金を断られたら12363へ電話毎日の外出分をしっかり

まとめ

出発前に、自宅のソファでAlipayとWeChat Payを設定しておきましょう。あとは、信頼できるクレジットカード1枚と少しの現金を持って着陸するだけです。やるべきことの大半はこれで終わり――出発前の10分がここまで効く旅行先は、私たちが紹介している中でも中国だけです。そして万一スマホが使えなくなっても、現金がどこでも通用することは法律そのものが保証してくれています。e-CNYは、技術に興味がなければ飛ばして構いません。お使いのウォレットがAlipay+ネットワークの対象かどうかは、事前に確認しておきましょう。両替の控えは帰りの便まで取っておいてください。さらに詳しい話は1タップ先にあります:Alipayの設定WeChat Payの設定カードが使える場所両替の方法です。

公式の参照先:中国人民銀行の外国人向け決済ガイドと、国務院による即時税還付の発表です。

最終更新:2026年8月

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最終確認日: 2026-07-19

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