「中国でGoogle翻訳が使えなくて困った」という声を旅行者からよく聞きます。実は、Googleは2022年末に中国本土での翻訳サービス(translate.google.cnを含む)を公式に終了しました。一部の旅行情報サイトでは「VPNなしで使える」と書かれていることもありますが、公式の発表とは矛盾しています。Google翻訳を頼りに旅行計画を立てるのは避けた方が無難です。
ただし、心配しないでください。中国でも使える優秀な翻訳アプリは複数あります。地下鉄のトンネルや農村部でデータ通信が途切れても使えるオフライン対応アプリも揃っています。このガイドでは、日本人旅行者が特に気になる「対応言語」「オフライン機能」「カメラ翻訳(OCR)」「日本語インターフェース」の観点から主要アプリを比較します。出発前にぜひ参考にしてください。

※日本人旅行者が特によく困る場面
実際に中国を旅する日本人がよく直面する言語の壁として、以下が挙げられます。
- レストランのメニューが読めない(特に地方都市では英語表記なし)
- タクシー・Didi(滴滴)の運転手との会話
- ホテルのフロントとのやりとり
- 市場や露店での値段交渉
- 観光地の案内板・注意書きの解読
こうした場面に対応するために、オフラインOCR機能を持つアプリが特に重要です。以下の比較表を参考にしてください。
主要翻訳アプリ一覧比較表
まずは全体像を把握しましょう。詳細は後述します。
| アプリ名 | オフライン対応 | カメラ翻訳(OCR) | 中国でのVPN不要? | 料金 | こんな方におすすめ |
|---|---|---|---|---|---|
| Pleco | ○(辞書機能) | ○(有料オプション) | 不要 | 基本無料・有料追加機能あり | 中国語の単語・フレーズを深く理解したい方 |
| Baidu Translate(百度翻訳) | ○(言語パック) | ○ | 不要 | 無料 | 現地での実用的な翻訳・OCRメイン |
| Youdao Translate(有道翻訳官) | ○(無料・主要言語) | ○ | 不要 | 無料 | 音声・会話翻訳重視の方 |
| Apple翻訳 | ○(デバイス内処理) | ○(iOS 17以降) | 不要 | 無料(iPhoneのみ) | 手軽にオフライン翻訳したいiPhoneユーザー |
| Microsoft Translator | ○(Android限定) | ○ | 未確認 | 無料 | フレーズ集・会話補助 |
| Waygo | ○(完全オフライン) | ○(メニュー・看板専用) | 不要 | 無料(1日10回)・約1,000円で無制限 | メニューや看板を素早く読みたい方 |
| WeChat(微信)内蔵翻訳 | △(テキストのみ) | × | 不要 | 無料 | 現地の人とチャットでやりとりする場面 |
| Google翻訳 | ○(言語パック) | ○ | 必要(公式サービス終了済) | 無料 | バックアップ用のみ |
| DeepL | ○(言語パック) | ○ | 必要 | 無料+有料プランあり | 自然な文章翻訳(VPN環境下で) |
Pleco — 中国語辞書の決定版
中国語を本格的に理解したい方、単語やフレーズを深く調べたい方には、Plecoが長期滞在者・中国語学習者から圧倒的な支持を得ています。基本アプリは無料・広告なしで、CC-CEDICT(11万語以上)とPleco独自のPLC辞書(約12万5,000語・例文2万5,000以上)の2つの辞書が内蔵されています。
辞書データはすべて端末内にダウンロードされるため、オフラインでも瞬時に検索可能です。看板や張り紙で読み方のわからない漢字は、画面に手書きで入力したり、カメラをかざしてOCR認識させることもできます。さらに、単語帳機能で暗記学習(間隔反復法)もできます。
Plecoは追加機能を個別購入するモデルです。OCRアドオンは約1,500円、拡張手書き認識・ドキュメントリーダーも各約1,500円、プロフェッショナルバンドルは約9,000円程度(App Store価格は変動します)。ただし、無料版だけでも旅行中の実用には十分という声が多いです。
Baidu Translate(百度翻訳)— 現地での実用性No.1
中国国内のサービスなのでVPN不要で使えるBaidu Translateは、現地での実用性が最も高い翻訳アプリの一つです。2013年にAndroid向けオフライン翻訳機能を世界で初めて搭載したアプリで、約30万語のオフライン辞書を備えています。
オフラインテキスト翻訳に加え、写真・カメラOCR翻訳、AR(拡張現実)リアルタイム文字置き換え、音声入力、Word・PDF・PPTファイルの丸ごと翻訳など機能が充実しています。手書き文字やぼやけた写真にも対応しているとのレビューもあります。上海市観光局の公式サイトでも訪問者向け推奨アプリとして紹介されており、メニューの写真翻訳・音声翻訳・ナビゲーションへの活用が推奨されています。
一点注意したいのは、インターフェースが中国語メインであること。最初は少し戸惑うかもしれませんが、カメラボタンと音声ボタンの場所さえ覚えれば直感的に使えます。日本を出発する前に一度操作に慣れておくことをおすすめします。

Youdao Translate(有道翻訳官)— 音声・会話翻訳に強い
Youdao(有道翻訳官)は107言語のテキスト翻訳、77言語の写真翻訳、33言語・47アクセントの会話モードに対応しています。オフライン翻訳は無料で、英語・日本語・韓国語・フランス語・スペイン語・ポルトガル語・ベトナム語など主要言語をカバー。独自のYNMTニューラルエンジンを使用しています。
ARリアルタイム翻訳、OCR文字認識、同時通訳機能も搭載しており、Baidu Translateと同様にVPN不要で使えます。ただし、最新バージョンでは初期設定が中国語のみになっていることが多いため、使い方を日本で確認してから渡航することをおすすめします。
Apple翻訳 — iPhoneユーザーには標準搭載で安心
iPhoneをお持ちの方はすでに優秀なオフライン翻訳ツールを持っています。Apple翻訳(iOS 14以降)は中国語(普通話・台湾)を含む約18言語に対応しており、言語パックをダウンロードしてオンデバイスモードをオンにすれば、通信なし・Wi-Fiなしで完全オフライン動作します。
テキスト・音声・会話翻訳に対応し、iOS 17以降ではカメラをかざして看板やメニューを翻訳するカメラ翻訳機能も追加されました。Appleの公式サポートページによれば、言語ペアをダウンロードしてオンデバイス切替をオンにするだけです。機能はシンプルですが、無料・プライバシー重視・設定不要でiPhoneに入っているのは大きな利点です。
Microsoft Translator — フレーズ集が充実、オフラインはAndroid限定
Microsoft Translatorは簡体字・繁体字中国語と広東語繁体字に対応し、常時オフラインで使える200以上のフレーズ集が内蔵されています。テキスト翻訳のオフライン言語パックとカメラ翻訳のオフライン使用も可能ですが、Microsoftの公式機能ページによると、オフライン機能はAndroid限定です。
中国本土でVPNなしで安定して動作するかどうかについては公式情報が明確でないため、メインツールとしてではなくバックアップとして位置づけ、日本出発前に動作確認をしておきましょう。
Waygo — メニュー・看板の読み取りに特化したオフラインアプリ
Waygoは「完全オフラインのカメラ翻訳」に特化したアプリです。中国語(簡体字・繁体字)、広東語、日本語、韓国語を英語に翻訳でき、メニューや看板にカメラをかざすだけで翻訳が表示されます。通信不要なので、電波のない場所でも安心です。中国料理のメニューでは料理の写真まで表示される機能もあります。
無料版は1日10回まで翻訳可能で、無制限プランは約1,000円($7前後)の買い切りです。Waygo公式サイトによると、鮮明に印刷されたテキスト(メニュー・看板・ラベル)が得意で、手書き文字・芸術的な書体・本・パソコン画面には対応していません。この制限内では、メニュー解読ツールとして最速クラスのアプリです。

WeChat(微信)内蔵翻訳 — 現地の人とのチャットに最適
中国旅行ではWeChat(微信)をインストールする機会が多いと思いますが、WeChat自体に翻訳機能が内蔵されています。ホテル、タクシー運転手、知り合った現地の方とメッセージをやりとりする際に非常に便利です。
翻訳方法は簡単です:翻訳したいメッセージを長押し→「翻訳」をタップするだけです(WeChat 8.0.56以降)。翻訳を終了したいときは再度長押し→「翻訳を止める」を選択します。また、外国語メッセージの自動翻訳設定もできます。WeChat公式ニュースルームによると、「設定→一般→翻訳」でオンにして目標言語(日本語)を選択するだけです。汎用翻訳ツールとしては機能が限られますが、アプリ内の会話では大活躍します。WeChatのセットアップについてはWeChat設定ガイドもご覧ください。
Google翻訳とDeepLはどうなの?
Google翻訳は2024年に広東語を含む110言語を追加し(同サービス史上最大の拡張)、世界中で広く使われています。しかし中国本土では2022年に公式サービスが終了しており、Chromeの内蔵翻訳やGoogle連携の第三者アプリも影響を受けています。実際には、中国でGoogleのサービスを使うにはVPNが必要になるのが一般的です。Google翻訳に慣れている方は、出発前に必ずオフライン言語パックをダウンロードしておき、バックアップとして位置づけてください。
DeepLは自然な訳文品質に定評があり、WordやPDFファイルを丸ごとアップロードして書式を保ったまま翻訳することもできます。無料版でも基本機能は使えますが、用語集や翻訳トーン(フォーマル・カジュアル)の設定は有料プランが必要です。ただし、DeepLも中国ではVPN必須のため、現地での実用ツールとしては使いにくいのが実情です。
Tencent Translator(腾讯翻译君)も候補に
Tencent Translator(腾讯翻译君)は無料・広告なしのアプリで、英語・日本語・韓国語・スペイン語・フランス語・ドイツ語・タイ語・ベトナム語などの主要言語に対応しています。音声翻訳、同時通訳、写真翻訳、テキスト翻訳、ARリアルタイム翻訳などの機能を搭載しており、Tencentの機械翻訳は2018年のWMT国際翻訳コンテストの中英翻訳部門で優勝するなど技術力も高く、1日あたり6億件以上の翻訳を処理しています。オフライン対応については公式情報が不明確なため、利用前にアプリ内で確認してください。
どのアプリを選ぶ?シーン別おすすめ
- 中国語の単語・フレーズを深く理解したい → Pleco(無料版で十分な場合が多い)
- オフライン+OCRをVPN不要で使いたい → Baidu Translate(百度翻訳)またはYoudao(有道翻訳官)
- iPhoneユーザーで設定を最小限にしたい → Apple翻訳(オンデバイスモード)
- メニューや看板をオフラインで読みたい → Waygo
- 現地の人とWeChat(微信)でチャット → WeChat内蔵翻訳
- Google翻訳・DeepLにこだわる方 → VPN必須+オフラインパックをバックアップとして準備
まとめ:中国渡航前チェックリスト
Google翻訳は中国本土では公式サービスが終了しており、通常はVPNが必要です。旅行の準備はローカルで動くオフライン対応アプリを中心に組み立てましょう。
- ✅ Baidu Translate またはYoudao:現地実用のオールラウンダー
- ✅ Pleco:中国語の単語・フレーズを深く調べたい方に
- ✅ Apple翻訳(iPhoneユーザー):手軽なオフライン翻訳
- ✅ Waygo:メニュー・看板の素早い読み取りに
- ✅ WeChat(微信)内蔵翻訳:現地の人とのチャット
- ✅ すべての言語パックを日本でダウンロード完了
言語の壁を解決したら、次は移動手段の準備です。地図アプリ比較ガイドや中国旅行前に入れておくべきアプリ完全版もぜひご覧ください。中国語がまったくわからない方には、中国語ゼロでも食事を注文できるガイドとOCRアプリの組み合わせが特におすすめです。
最終更新:2026年6月
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