この記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。これらのリンクを通じて購入された場合、追加費用なしで少額のコミッションを受け取ることがあります。これは無料の旅行ガイドの作成を支援するために使われます。
中国での移動は、初めて訪れる方が想像するよりもずっと便利です。中国の交通インフラは、世界トップクラスといっても過言ではありません。世界最長の高速鉄道(中国版新幹線)ネットワーク(総延長約48,000km)を有し、時速350kmで走る列車が各地を結んでいます。都市部には清潔で安価な地下鉄が整備されており、英語表記も充実しています。スマートフォンがあれば、数秒で配車アプリを呼んだり、シェアバイクのロックを解除したりすることもできます。
旅行前に押さえておくべき重要なポイントが2つあります。①鉄道チケットはパスポートと紐付けられる実名制であること、②ほぼすべての支払いがQRコード決済であること。この2点さえ準備できれば、あとはスムーズです。本ガイドでは、各交通手段の特徴・使い方・選び方を、日本人旅行者の視点から丁寧に解説します。

まず知っておきたい:中国の交通網の全体像
中国では2024年に鉄道だけで40億人以上、航空で7億3,000万人以上が移動しました。これだけの規模があるからこそ、便数が多く、ルートの選択肢も豊富で、インフラも安定しています。交通手段の選び方は、シンプルに次のように考えると分かりやすいでしょう。
- 都市間の移動:高速鉄道(中国版新幹線)、国内線、長距離バスの3択。目安として約1,000km以内なら高速鉄道が最もおすすめです。
- 都市内の移動:地下鉄、配車アプリ(Didi/滴滴)、タクシー、路線バス、シェアバイクを組み合わせて使います。観光スポットへのアクセスは地下鉄でほぼカバーできます。
これらすべてに共通する「鍵」がスマホ決済です。出発前に必ず設定しておきましょう。
【最優先】スマホ決済の準備をしよう
中国では、地下鉄・配車アプリ・シェアバイク・バスなど、ほぼすべての交通機関の支払いにアリペイ(支付宝)またはWeChat Pay(微信支付)を使います。どちらも外国のクレジットカードを登録できるようになっており、これが日本出発前に済ませておくべき最重要の準備です。
対応カードと手数料
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応カード | Visa、Mastercard、JCB、Diners Club、Discoverなど主要国際カード |
| 手数料 | 200人民元(RMB)以下:無料/200元超:3%の手数料 |
| 1回あたりの上限 | 約5,000米ドル相当 |
| 年間上限 | 約50,000米ドル相当(旅行用途には十分) |
※ アリペイ(支付宝)では、累計利用額が約500米ドルを超えると本人確認(パスポートのアップロード)が必要になります。最初からパスポート情報で登録しておくと安心です。
詳しい設定手順は、外国カードでアリペイを使う方法および中国のキャッシュレス決済ガイドをご覧ください。
高速鉄道(中国版新幹線):都市間移動の定番
中国旅行で最も活躍する交通手段が、高速鉄道(中国版新幹線)です。駅は市街地に近く、新幹線のような感覚で利用でき、定時運行率も高いのが特徴です。日本の新幹線に慣れている方なら、むしろ馴染みやすいかもしれません。
列車の種類と速度の目安
| 列車記号 | 最高速度 | 特徴 |
|---|---|---|
| G列車 | 最高350km/h | 最速・主要幹線。最新の復興号(Fùxīng)が運行 |
| D列車 | 最高250km/h | 幹線・準幹線を結ぶ |
| C列車 | 約200km/h | 都市間近距離(例:北京〜天津) |
参考として、北京〜上海間(約1,300km)はG列車で約4時間30分。空港への移動・チェックイン・セキュリティの時間を含めると、約1,000km以内なら飛行機より高速鉄道の方が速く便利なことが多いです。

外国人がチケットを買う方法
中国の鉄道チケットは実名制のため、パスポートに紐付けて購入します。主な購入方法は以下の2つです。
① 公式サイト「12306(中国鉄道公式サイト)」
- 中国鉄道の12306英語版公式サイト・アプリから、外国パスポートで登録・購入が可能
- ※英語版は外国パスポートのみ対応。その他の証明書は中国語版サイトを使用
- チケット購入・変更:毎日5:00〜翌1:00/照会・払い戻し:24時間対応
② Trip.comなどの第三者プラットフォーム
- 英語インターフェースで使いやすく、初めての方に特におすすめ
- パスポート番号で予約→QRコードまたは電子チケットを受け取り→入場時に使用
- 国際クレジットカードやPayPalにも対応
英語対応・国際カード・PayPal払いで予約したい方は、Trip.comからチケットを予約し、パスポート対応のeチケットQRコードを受け取れます。改札ではパスポートを提示するだけでOKです。
中国の鉄道チケットは出発の15日前から販売開始です。第三者サイトで「30日前・90日前から予約可能」と表示されている場合は、確定チケットではなく「仮予約・リクエスト」であることがほとんどです。すべての購入者が同じ15日前ルールに縛られています。ルートは早めに計画しつつ、チケット購入は15日前から行いましょう。
- 出発8日以上前のキャンセル:無料
- 出発が近づくにつれて:5%→10%→20%と手数料が上がります
- 購入から30分以内かつ出発4時間以上前のキャンセル:1日1回に限り無料
詳しい手順は鉄道チケット予約チュートリアルと高速鉄道完全ガイドもご覧ください。
国内線:長距離移動・僻地へのアクセスに
距離が1,500km以上になる場合、または西藏(チベット)・新疆・海南島など鉄道でのアクセスが難しい地域へ行く場合は、国内線の利用が現実的です。中国国内には2024年末時点で263の商業空港があり、上海浦東・広州白雲・北京首都の各主要空港はそれぞれ年間6,500万人以上の旅客を処理しています。
国内線は便数が多く、価格も競争力がありますが、以下の点に注意が必要です。
- 空港は広大で、セキュリティチェックに時間がかかることがある
- 主要空港では天候による遅延が発生しやすい
- 出発ゲートでのパスポート確認があるため、必ず携帯する
詳しくは国内線利用ガイドをご覧ください。

長距離バス:鉄道が通っていないエリアへ
長距離バス(长途汽车)は、鉄道や飛行機が届かない小さな町、山岳地帯の観光地、鉄道路線のない地方へのアクセスに活躍します。運賃は安く、フレキシブルですが、所要時間が長く快適性は劣ります。チケット購入は基本的に現地でのみ(英語対応はほぼなし)。多くの日本人旅行者にとっては「鉄道が使えない場合の補助手段」として位置づけるのが現実的です。料金・スケジュール・予約方法は地域によって大きく異なるため、宿泊先に確認するのが最もスムーズです。
都市内の移動手段
目的の都市に着いたら、以下の移動手段を組み合わせて使います。2024年末時点で、中国の都市鉄道(地下鉄)ネットワークは58都市・総延長12,000km超に広がり、同年の年間利用者数は320億人を超えました。
地下鉄(地铁)
観光客の市内移動の主役です。安くて速く、駅の案内板や路線図は英語対応しています。主要都市の地下鉄規模は以下の通りです。
| 都市 | 総延長(目安) |
|---|---|
| 上海 | 約1,032km |
| 北京 | 約952km |
| 成都・広州・深圳 | それぞれ大規模なネットワークを保有 |
アリペイ(支付宝)またはWeChat Pay(微信支付)で本人確認とカード登録が完了したら、乗車コード(乘车码)を表示してゲートをタッチするだけで乗降できます。
乗車コードは各都市で個別に有効化する必要があります。新しい都市に着いたら、アプリ内でその都市の乗車コードを有効にしてください。また、1.3メートル未満の子どもは一般的に無料で乗車できます。
「交通联合」(交通聯合)マークのついる交通ICカードを使えば、300以上の都市の地下鉄・バスで共通利用できます。地下鉄のサービスセンターで約20元のデポジットで購入可能です。ただし、払い戻しは購入した都市でのみ可能な場合がほとんどです。
主要都市の路線図や日程プランニングにはWaysChina アプリが便利です。オフライン地下鉄マップとトリッププランナー機能を搭載しており、地下通信が不安定な地下でも役立ちます。詳細は地下鉄システムガイドと都市内交通ガイドをご覧ください。

配車アプリ(Didi/滴滴)・タクシー
Didi(滴滴)は中国最大手の配車アプリで、外国人にも使いやすい設計になっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 登録 | パスポートと海外の電話番号で登録可能 |
| 言語 | 英語インターフェース対応 |
| コミュニケーション | ドライバーと乗客の双方向翻訳機能あり |
| カスタマーサポート | 英語対応・24時間365日 |
| 支払い方法 | 国際クレジットカード・アリペイ・WeChat Pay・現金 |
| ミニプログラム | アリペイまたはWeChat内のミニプログラムとして使用可能(中国の電話番号不要) |
街中のタクシーも広く流通していて信頼性は高いですが、英語が話せないドライバーがほとんどです。目的地は中国語で書いたメモか地図を見せるのがスムーズです。詳しくはタクシー・配車アプリガイドとDidi(滴滴)完全ガイドをご覧ください。
シェアバイク
短距離移動にはシェアバイクが最適です。料金は非常に安く、街中に大量に設置されています。主要3社は以下の通りです。
- Hellobike(青色)
- Meituan(黄色)
- Didi傘下のQingju(青橘)(水色)
パスポートで本人確認をして支払い方法を登録したら、自転車のQRコードをスキャンするだけでロック解除できます。アリペイやWeChat内のミニプログラムから使えるため、別途アプリのダウンロードは不要です。返却は必ず指定の駐輪エリアに行いましょう。エリア外に停めると追加料金が発生します。
交通手段の比較一覧表
| 交通手段 | 向いているシーン | 速度 | 予約・乗車方法 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 高速鉄道(中国版新幹線) | 約1,000km以内の都市間移動 | 250〜350km/h | 12306(中国鉄道公式サイト)またはTrip.com/パスポート必須/15日前販売開始 | 市街地の駅から発着・定時運行率が高い |
| 国内線 | 1,500km超の長距離・僻地エリア | 最速(長距離) | 各種予約プラットフォーム | 空港での移動時間を余裕を持って確保 |
| 長距離バス | 鉄道が通っていない町・地方 | 遅い | 現地バスターミナル(英語対応ほぼなし) | 安い・補助手段として |
| 地下鉄 | 市内観光・主要スポット巡り | 市内移動として速い | 乗車コードまたは1回券購入 | 英語表記あり・格安 |
| Didi(滴滴)・タクシー | ドア・ツー・ドア・深夜移動 | 交通状況による | アプリまたは流し | Didiは英語サポートあり |
| シェアバイク | ラストワンマイル・近距離移動 | ゆっくりだが柔軟 | アプリでQRスキャン | 指定エリアへの返却必須 |
ビザなし滞在・トランジットと交通計画の関係
中国をトランジットで訪問する場合、ビザなしトランジット制度が移動ルートの計画に影響することがあります。2024年末時点の情報によると、対象55カ国の国民は、有効な渡航書類と第三国へのオンワードチケットを持つことで、指定の入国ポートから最大240時間(10日間)ビザなしで滞在できます(観光・知人訪問目的のみ。就労・就学は不可)。対象ポートは2025年11月時点で65カ所に拡大されており、主要な鉄道・航空のゲートウェイも含まれています。
※ 対象国・対象ポートは変更されることがあります。渡航前に必ず中国国家移民管理局(NIA)公式サイトで最新情報を確認してください。詳細はビザ免除・トランジットポリシーガイドをご覧ください。
日本人旅行者によくある誤解・注意点
- ※ 「PayPayは中国で使えない」:中国ではアリペイ(支付宝)またはWeChat Pay(微信支付)が必要です。PayPayは使えません。
- ※ 「SuicaやICOCAは使えない」:日本のICカードは中国では使用できません。各都市の交通ICカードかスマホ決済が必要です。
- ※ 「Google MapsやLINEは使えない」:中国ではグレート・ファイアウォールにより、Google・LINE・Twitter・Instagram等は原則使用不可。VPNの利用は事前に検討しておきましょう(利用は自己責任)。
- ※ 「新幹線と同じ感覚でOK」:高速鉄道は日本の新幹線に近い感覚で利用できますが、乗車時にパスポート提示が必要など、細かい違いがあります。
- ※ 「現金で大丈夫」:大都市では現金が使えない場面も増えています。スマホ決済の準備を強くおすすめします。
おすすめの旅行準備チェックリスト
- ✅ アリペイ(支付宝)に国際クレジットカードを登録する
- ✅ WeChat Pay(微信支付)も設定しておく(余裕があれば)
- ✅ 12306(中国鉄道公式サイト)またはTrip.comでパスポート情報を登録する
- ✅ 訪問都市の地下鉄路線図をダウンロードしておく
- ✅ Didi(滴滴)アプリ、またはアリペイのDidiミニプログラムを確認する
- ✅ VPNの準備を検討する(中国入国後の設定は難しい場合あり)
- ✅ 宿泊届出(公安届出)の必要書類を確認しておく
まとめ:中国の移動、これだけ覚えればOK
初めて中国を旅行する方には、以下のシンプルな方針をおすすめします。
- 出発前にアリペイ(支付宝)を設定する
- 都市間移動は高速鉄道(中国版新幹線)を基本にする
- 都市内は地下鉄+Didi(滴滴)で対応する
- 本当に遠い長距離・僻地のみ国内線を使う
事前準備は少し手間がかかりますが、決済アプリとパスポート情報を登録してしまえば、あとは現地での移動はとてもスムーズです。鉄道チケットは出発15日前から販売開始なので、ルートは早めに計画しつつ、購入は焦らず15日前を待ちましょう。準備さえ整えれば、中国の移動は旅行の中で最も「使いやすい」部分のひとつになるはずです。
関連記事:
最終更新日:2026年6月